オムロンがスマート化を加速、FA製品完全IoT化に向けた第1弾製品発売:スマートファクトリー(1/2 ページ)
オムロンは、生産設備のIoT化を実現する「IO-Link」対応FA製品の第1弾製品群を発売する。同社では全てのFA製品のIoT化を進める方針を示している。
オムロンは、生産設備のIoT化を実現する「IO-Link」対応FA製品の第1弾製品群を2016年7月1日に発売する。
製造業では、変種変量生産やグローバルでの最適地生産など、柔軟な生産現場が求められている。その中で、ドイツのインダストリー4.0の動きなどをはじめ、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)をはじめとするICT(情報通信技術)を活用した、生産現場の実現に向けた取り組みが加速している状況だ。
センサーだけで異常検知や予兆保全が可能に
今回オムロンが新たに発売するのは生産ラインや設備のIoT化を加速させる製品である。生産現場のさまざまな箇所に使用されている光電センサーおよび近接センサーで「IO-Link」対応を実現し、センサーのON/OFF信号だけでなく、受光量や異常検知、ワークとの距離などのデータを取得できるようにするものである。
「IO-Link」は国際標準規格IEC 61131-9で規定されたセンサーやアクチュエーターと、I/Oターミナルの通信のための標準化技術である。現在、欧米メーカーを中心にグローバルで対応製品が拡大しており、日本でも自動車メーカーなどで採用が進んでいるという。
これらの対応により製造現場において「個別ID識別」が可能となり、センサーの誤接続や未接続、設置間違いなどのチェックが容易に行える。さらに上位コントローラーから命令を発することで多数のセンサーへの一括書き込みなどが可能であるため、生産ライン立ち上げや段取り替えの時間を大きく削減できる。また、センサーの配線ケーブルの断線や短絡などの異常発生時に、異常部分と現象を上位コントローラーにリアルタイム通知し、原因特定を容易にし復旧までの時間を低減可能だ。
予兆保全を実現する状態監視などにも活用できる。近接センサーでは、装置部品の摩耗や振動でセンサーの検出位置が変わることがあるが、検出状態を通知することで突発的な設備の不具合発生を抑えることができる。また光電センサーでは、受光量を監視することで光量の不安定状態をリアルタイムに把握し誤検出する前に保全することなどが可能である。
投入製品は生産現場向け汎用センサーのIO-Link対応光電センサー「E3Z」、カラーマーク光電センサー「E3S-DC」シリーズ、近接センサー「E2E」「E2EQ」シリーズおよびIO-Linkマスターユニット「GX」「NXシリーズ」で、合計80型式を2016年7月1日に一斉発売する。価格については「従来品に比べて定価ベースで20〜30%高い値段で提供するが、中長期的には従来機種と同等価格になることもあり得る」(オムロン)としている。
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