いまさら聞けない IO-Link入門:産業用ネットワーク技術解説(3/4 ページ)
インダストリー4.0などによりスマートファクトリーをはじめとする工場内IoTが注目を集める中、大きなカギを握る技術として注目度を高めてきているのが「IO-Link」です。製造現場のさらに末端情報を担うセンサーやアクチュエータからの情報取得を可能とするIO-Linkとは何かを、本稿では分かりやすく紹介します。
IO-Linkの性能や機能
IO-Linkマスターは、M5、M8、M12コネクタなどIO-Linkポートの端子仕様が規定されています。一般的にはM12コネクタが使われています。IO-Linkマスターは、通常、4もしくは8ポートを有しているため、IO-Linkマスター当たり4もしくは8個のIO-Linkデバイスを接続できます。M12のIO-Linkポート端子仕様を下図に示します。
信号線である4番ピン(C/Q)は、次の2種類のインタフェースを持っています。
- 1:1の双方向通信(IO-Linkモード)
- デジタル入力もしくは出力としての接点入出力信号(標準I/Oモード)
IO-Linkマスターに接続するデバイスをエンジニアリングツールで割り付ける際、IO-Linkポートごとに上記いずれのインタフェースを使用するかを設定します。
ここで、IO-Linkモードでは3種類の通信速度が規定されています。IO-Linkデバイスはいずれか1つの通信速度に対応していますが、IO-Linkマスターは全ての通信速度に対応しているものもあります。
- COM1= 4.8 kbps
- COM2= 38.4 kbps
- COM3= 230.4 kbps
IO-Linkケーブルは通常3本線から成り、信号線(C/Q)の他にIO-Linkデバイスへの24V電源供給用にL+、L-線があります(ポートクラスAと呼ぶ)。仕様ではL+から供給される電源容量は200mAであり、アクチュエータ駆動には不足する場合があります。この場合、IO-LinkデバイスはUA+、UA-から追加4Aの電源供給をアクチュエータ駆動用に受け取ります(5線式:ポートクラスB)。なお、このポートクラスBの場合、IO-Linkマスターによっては、下図のようにIO-Linkのアクチュエータをセーフティ対応させるものもリリースされています。
IO-Linkモードで通信するデータには、次の種類があります。下記1以外のデータは必要なときだけ通信するため、通信速度が抑えられていても各種データ通信が行える低コストなソリューションです。
- プロセスデータとステータス値(周期通信データ):デバイスにより入出力それぞれ0〜32バイトおよび、このデータの正当性を示す値から成る周期通信データ
- デバイスデータ:パラメータ、IDデータ、診断情報データは非周期的にIO-Linkマスターからの要求に従って転送されるデータ。通常、エンジニアリングツールを使ってアクセスします
- イベントデータ:エラーメッセージ(例:短絡)、メンテナンス情報(例:温度異常)です
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