ニュース
DNAメチル化の個体差、染色体によって男女で個体差の開き方が異なると解明:医療技術ニュース
大阪大学大学院医学系研究科附属ツインリサーチセンターの研究グループは、DNAメチル化の個体差は常染色体上のDNAでは男性が大きく、X染色体上のDNAでは女性が大きいことを明らかにした。
大阪大学は2016年9月2日、後天的な遺伝子の発現変化に男女差があることを解明したと発表した。同大学大学院医学系研究科附属ツインリサーチセンターの渡邉幹夫准教授と岩谷良則教授らの研究グループによる成果で、DNAのメチル化の個体差が常染色体上のDNAでは男性の方が、X染色体上のDNAでは女性の方が大きくなることを世界で初めて突き止めたという。
DNAの配列は先天的に決まって変化しないが、DNAのシトシン基がメチル化することで遺伝子の発現が後天的に制御される。メチル化の程度は、疾患などに影響を及ぼす要因になると考えられているため、今回の研究成果はメチル化を臨床応用する上で重要な基礎的データになり、疾患発症や臨床経過の男女差に及ぼすDNAメチル化の影響の解明に役立つと期待されている。
研究グループは、一卵性双生児を対象にDNAメチル化の個体差を解析した。男性の双子、女性の双子というDNA配列が同じ対象を比較することで、遺伝的な違いが個体差に及ぼす影響を排除。DNAメチル化の個体差を解析した結果、常染色体では男性の方がDNA修飾の程度(メチル化率)の差が大きく、X染色体では女性の方がメチル化率の差が大きかったと報告している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 大切なのは「アイデア」「実用性」「完成度」、大阪大学大学院のZigBee実習
情報科学系の大学では実際に手を動かし、何かを作る機会は多くない。だが、大阪大学大学院ではZigBeeの評価ボードを用いて、センサーネットワークの構築と組み込みプログラミングを学ぶ実習が行われている。その成果発表を紹介する。 - 阪大、初の日本一! ほんまに車が好っきやねん
最終回は、阪大が優勝を勝ち取った真の理由に迫っていく。「車が好き!」という気持ちが、彼らを強くした! - “美人”で“自然”な対話アンドロイド「ERICA」、阪大ら開発
大阪大学や京都大学などからなる研究グループが、“美人”アンドロイド「ERICA」を開発した。ERICAを利用して研究を進め、自然な対話が行える自律対話型アンドロイドの実現を目指す。 - “妹”も生まれる「地平アイこ」、誕生の秘密
東芝の開発したコミュニケーションロボット「地平アイこ」(ちひらあいこ)。自然さにこだわり、展示会では手話も披露した。産業用ロボットは以前から手掛ける同社が、なぜコミュニケーションロボットの事業化を目指すのか。 - 自己免疫疾患を回避する免疫系のシステムを解明
大阪大学免疫学フロンティア研究センターの研究グループは、CD4陽性制御性T細胞が自己免疫反応(自己免疫疾患)を回避するため、自己に反応するCD8陽性T細胞に安定的な免疫不応答状態(アネルギー)を誘導することを明らかにした。