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どうしても「フリードHV」に4WDを設定したかったホンダが工夫したこと:エコカー技術(3/3 ページ)
ホンダは、5ナンバーミニバン「フリード」をフルモデルチェンジして発表した。2008年に発売して以来初めての全面改良となる。3列シートのフリードと、派生車種「フリード スパイク」の後継となる2列シートの「フリード+(プラス)」を用意した。また、5ナンバーミニバンとして初めてハイブリッドモデルに4WD(四輪駆動車)を設定した。
世界初の重希土類フリーのモーター
DCTに内蔵されたモーターは、大同特殊鋼と共同開発した重希土類フリーの熱間加工ネオジム磁石を採用している。重希土類フリーのネオジム磁石の実用化は「世界初」(ホンダ)だという。大同特殊鋼の国内生産拠点で量産している。
高温下で使用する車載用モーターの磁石は耐熱性を確保するため、従来はジスプロシウムやテルビウムといった重希土類元素を添加してきた。しかし、重希土類はレアメタルに分類されており、産出地域が偏っているため、調達にリスクが伴う。重希土類元素の使用量の低減が課題となっていた。
今回採用している重希土類フリーのネオジム磁石は、製造法とモーター内での配置を工夫することにより、従来の重希土類を使用した磁石と同等の耐熱性を達成した。
磁石の製造は熱間塑性加工で行う。磁石の原料を粉末化し、熱間で押し出し成型することにより、従来の焼結工法の10分の1となる微細な組織を実現した。焼結工法よりも加工時間も短縮できるとしている。
また、磁石をハの字に配置し、磁石の周辺に細かい穴をあけることで「磁石同士が磁界を互いに邪魔せず、最大限の効率を出せるようにした」(同社の説明員)。SPORTS HYBRID i-DCD向けに順次展開していく計画だ。
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