マイコン1つで複数モーターを操る、制御モジュール「A4988」を学ぶ:Arduinoで学ぶ基礎からのモーター制御(10)(2/4 ページ)
ステッピングモーターに制御用ドライバモジュールを組み合わせると、用途の幅がグッと広がります。今回は3Dプリンタなどで、バイポーラ型ステッピングモーターの制御モジュールとしてよく利用されている「A4988」の扱いを学びます。
次の図がA4988のピン配列を示す表です。上に示した写真のものと基板の色が異なりますがピン配列は同じです。ちなみにピンを示すレジストは基板表面(部品面)には印刷されていませんが、基板裏面にこれらのピンのシンボルがレジストされています。
モジュールのピン間ピッチはDIPですので、そのままブレッドボードに差し込んで使えます。モジュールを図の方向に向けた状態で左上のピンから説明します。/ENABLEはこのピンをGNDに落とした時にこのモジュールが動作状態になります。通常はこのピンは開放でも結構です。
次のMS1、MS2、MS3はステッピングモーターに与える波形のパターンを決めるためのピンです。詳細は割愛しますが、モーターの2つのコイルに与える波形のオーバーラップのさせ方を決定します。また後述のSTEPに与えたパルスに対してモーターを駆動する波形の分周率などの設定が可能です。詳しくはA4988のデーターシート等をご参照ください。今回はこの3ピンとも開放で使います。
その下の/RESETはピンをGNDに落とすとリセット、/SLEEPはGNDに落とすとスリープします。今回はこの2つを互いに接続した状態で使用します。STEPにパルスを与えることで、ステッピングモーターに1ステップ回転する信号が送られます。次のDIRピンで回転方向を決めます。1か0を与えます。
今度はその対面のピンです。GNDはロジック側のGNDを接続します。その上がVDDで、マイコンと同じ電源電圧を与えます。後で説明しますがこの電圧には上限がありますのでそれを守ってください。次の1Aと1Bはステッピングモーターのコイルに接続します。また2Aと2Bにはもう一方のコイルに接続します。その上のGNDとVMOTにはモーターを駆動するための電源を接続します。
次の図はA4988の最大定格を示した表です。
ここで注目したいのは1行目の「Load Supply Voltage」と「Output Current」です。これはモーターを駆動するための電源電圧と流せる電流の上限を示しています。この値を超えるステッピングモーターは駆動できませんのでモーターの仕様書と見比べて慎重に検討してください。また「Reference Voltage」ですが、この値(VDD)は信号線に1を与えたときの電圧を印加しますが、この値は5.5Vを超えてはなりません。
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