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漆の美しさを備えたバイオプラスチックを開発、射出成型で量産可能にバイオプラスチック(3/3 ページ)

NECは、京都工繊や漆芸家の下出祐太郎氏と共同で、伝統工芸の漆器が持つ独特の美しい漆黒を実現したバイオプラスチックを開発した。今後、材料メーカーなどと提携し漆風素材の量産や普及を目指す。

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射出成型機による量産は漆職人の職を奪う?

 NECでは今後もさらに研究を重ね、2020年までに製品での実用化を目指したパートナー連携を進めていくという。具体的には、材料メーカーとの提携を進め、高級自動車の内装部材、装飾性を要する高級建材・電子機器などの耐久製品用途での利用を目指す。

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新開発のバイオプラスチックで目指す利用領域(クリックで拡大)出典:NEC

 新たなバイオプラスチックが実用化されれば、通常の射出成型により複雑な形状のさまざまな漆器風製品を量産することが可能となる。現状では石油系プラスチックよりも2倍以上の価格がするが、生産量が増えると漆器風製品の低コスト化なども実現可能だ。位地氏は「バイオプラスチック市場で環境以外の新たな付加価値を生み出すことで、年間数十万トンクラスの新たな需要が生み出せると考えている。これによりコストダウンなども実現可能だ」と力を込める。

漆風バイオプラスチックは天然漆職人の地位を高める

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漆芸家の下出祐太郎氏

 一方で、漆の美しさを持つバイオプラスチックによる量産が行われると、漆職人の仕事を奪うことにつながるとも見られるが、その点については、NECの位地氏は「基本的にはバイオプラスチックは耐久消費財や建材など従来の漆器では対象とされなかった領域で使用されるもので住み分けができる」と主張している。

 下地氏も「現在でも若い層では漆そのものへの認識がなく、お椀などでもプラスチック製品が使われている現状がある。ただ、バイオプラスチックは漆製品ではないが、今回開発を進めてきた『漆の美しさ』への取り組みは、漆文化があったからこそ生まれてきたものである。まさに日本の文化ならではのものだ。こうした製品により世界を含めて漆の価値や美しさを再認識してもらうことで、オリジナルの天然漆の製品にも再び光が当たると考えている」とその価値を強調している。

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