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漆の美しさを備えたバイオプラスチックを開発、射出成型で量産可能に:バイオプラスチック(2/3 ページ)
NECは、京都工繊や漆芸家の下出祐太郎氏と共同で、伝統工芸の漆器が持つ独特の美しい漆黒を実現したバイオプラスチックを開発した。今後、材料メーカーなどと提携し漆風素材の量産や普及を目指す。
最高レベルの漆器モデルと比較
新開発のバイオプラスチックは、わらや木材など非食用植物の主成分を原料に使ったセルロース樹脂を材料とし、樹脂中に炭素系微粒子を使った特殊な着色成分を分散することで、漆器に近い光学特性を実現したというものだ。
開発においては、下出氏の感覚に合わせ樹脂基材に漆を塗布した「最高レベルの漆器モデル(下出モデル)」をレファレンスモデルとしてまず作成。開発したバイオプラスチックを、その特性に近づけていく形で進められた。下出モデルは極めて低い明度(1レベル)と鏡面に匹敵するレベルの光沢度(100レベル)を両立している上、漆器独特の深さや温かさを備えている。
これらの開発を進める中で、明度や光沢度については、下出モデルに非常に近い特性を実現することができたという。
深みや温かみは80点
開発を進めてきたNEC IoTデバイス研究所の首席研究員 位地正年氏は「明度や光沢度などについては、下出モデルに近い水準で作りだすことができた。強度や断熱性などについてもある程度の品質で仕上げることができている」と話す。
ただ一方で下出氏は「明度や光沢度などは定量化を進めてきたが、深みや温かみなどについては、定量化する指標ができていない。今回のバイオプラスチックについては、深みや温かみなどの光学特性全てを含めると80点くらいだと考えている。ただ、開発モデルについてもこうした要素は確実に内包されていて、伸びしろがあると見ている」と述べている。
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