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マンモグラフィーだけの乳がん検診は不十分!? 超音波やMRIの組み合わせが必要医療機器ニュース(2/2 ページ)

シーメンスヘルスケアと相良病院が、乳がん検診の現状や、全身検査が可能なPET-MRI同時撮影装置「Biograph mMR」を使った最新の検診手法について説明。マンモグラフィーだけでは乳がんを見つけ出すには万全とはいえず、超音波やMRIなども組み合わせる必要があるという。

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PET-MRIでアンジェリーナ・ジョリーと同じ“ハイリスク”患者に対応

 乳がんの検査では“ハイリスク”の患者への対応も重要になってくる。乳がんや卵巣がんは、BRCA1/2遺伝子に変異がある場合、年齢を重ねるごとに発症の確率が急激に高まることが知られている。この“ハイリスク”の患者の場合、乳房や卵巣を切除する予防的治療か、MRIなどを使うサーベイランスで対応する必要がある。予防的治療で対応したことで広く知られているのが、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリー氏だ。

“ハイリスク”患者は予防的治療かサーベイランスが必要
“ハイリスク”患者は予防的治療かサーベイランスが必要(クリックで拡大) 出典:相良病院

 国内では、“ハイリスク”であるかどうかを知るための遺伝子検査や、その後の予防的治療やサーベイランスが保険適用外であるため高価にならざるを得ない。「高価だから実施されないので臨床例も少ない。臨床例が少ないと有効性を証明できないので保険適用にはできず、高価なままの状態が続く」(戸崎氏)というのが現状だ。

 シーメンスヘルスケアと相良病院は、2015年5月に提携したパートナーシップに基づき、乳がんや卵巣がんの“ハイリスク”患者を主な対象とする検査装置として、PET-MRIのBiograph mMRの導入を決めた。Biograph mMRは、磁場強度が3.0TのMRIとPET(陽電子放射断層撮影)を同時に行える検査装置である。

 国内のPET検査の複合装置というとPET-CTが一般的だ。ただしPET-MRIは、PET-CTと比べて「軟部組織コントラストに優れ、X線の被ばくがない。MRIとPETの検査時間がほぼ同じなので、検査データの同時収集が可能だ」(シーメンスヘルスケア ダイアグノスティックイメージング事業本部 MR事業部 クリルニカルマーケティングマネージャーの井村千明氏)という。世界で約100台のPET-MRIが設置されているが、シーメンスヘルスケアの製品のシェアは約80%に達する。

軟部組織コントラストに優れ検査データの時間的/空間的な同時収集が可能 PET-CTに対するPET-MRIのメリット。軟部組織コントラストに優れ(左)、検査データの時間的/空間的な同時収集が可能だ(クリックで拡大) 出典:シーメンスヘルスケア
PET-MRI(左)とPET-CT(右)の検査結果比較
PET-MRI(左)とPET-CT(右)の検査結果比較。PET-MRIではっきりと見えている種瘤が、PET-CTでは見分けづらい(クリックで拡大) 出典:相良病院

 相良病院が導入するBiograph mMRは2016年10月から稼働を始める。1日当たり8枠で検査を行う予定だ。相良氏は「乳がんなどの術前検査はこれ1台で完了する。検査データの同時収集による早さ、保険適用により3万5000円で検査できる安さは、患者にとって大きなメリット」と説明する。

 また相良病院では、“ハイリスク”患者のサーベイランスへのMRI活用を検討する、文部科学省の科学研究費を用いた研究事業を実施している。「PET-MRIによる臨床例を世界に発信すると共に、国内でMRIを用いた個別化検診を実現する道を開くために貢献したい」(相良氏)としている。

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