鹿児島の病院が歩む、アジアNo.1女性医療機関への道のり:シーメンスがパートナーに(1/2 ページ)
鹿児島県の相良病院とシーメンス・ジャパンは、最先端の乳がん治療などを行う女性医療センターの設立・運営に関するパートナーシップの基本契約を締結した。相良病院は、シーメンスのコンサルテーションと最新の画像診断装置や治療装置を導入して2018年8月に開設する新病院により、アジアNo.1の女性医療機関となることを目指す。
社会医療法人博愛会 相良病院(以下、相良病院)とシーメンス・ジャパンは2015年5月14日、東京都内で会見を開き、最先端の乳がん治療などを行う女性医療センターの設立・運営に関するパートナーシップの基本契約を締結したと発表した。鹿児島市内に展開する相良病院が2018年8月に開設する予定の新病院をシーメンスのコンサルテーションを基に構築し、同社の最新の画像診断装置や治療装置を導入するなどして、アジアNo.1の女性医療機関となることを目指す。
シーメンス・ジャパン社長兼CEO ヘルスケアリージョンリードを務める織畠潤一氏は、「グローバルでヘルスケア事業を展開するシーメンスにとって、日本は米国、中国に次ぐ第3位の市場だ。その日本で、先進的な女性医療に取り組んでいる相良病院のパートナーに選ばれたことは大変光栄だ」と語る。
また、相良病院理事長の相良吉昭氏は、「『共にあり、共に歩む』という理念のもと、少子化や人口減があっても変わらず高い水準の女性医療を提供できるような新病院の建設に向けた施策を2012年に策定し、2014年から進めてきた。第1段階に当たる『女性のためのがん拠点病院』は、2014年8月に国内初、そして現在でも唯一の特定領域がん診療連携拠点病院に選ばれたことで達成できたと考えている。第2段階からは、新病院建設を具体化することになるが、今回シーメンスとパートナーシップを締結したことにより、新病院がアジアNo.1の乳がん専門病院としてのブランドを確立できるようになったと考えている」と意気込む。
今回のパートナーシップの基本的な内容は、以下の5つの項目から成っている。
- 新病院事業計画に対するコンサルテーション
- 女性医療に最適なシーメンスの画像診断、治療ならびに検体検査に関する先進的な医療機器の提供
- シーメンスのスタッフが常駐し、より迅速なサポートを提供する、新病院内へのサポートオフィス設置
- 次世代装置の共同研究開発
- 相良病院がシーメンスのグローバルリファレンスサイトとなり、グローバルレベルでの知識交流などさまざまな活動を通じて、先進女性医療のロールモデルとして相良病院のブランドを世界的に確立
項目1〜3は、新病院で提供する女性医療を世界最高水準に高めるためのものだ。例えば項目1のコンサルテーションでは、シーメンスはグローバルで400件以上の実績を有しており、世界トップレベルの医療機関でのベストプラクティスを反映させられるという。また、項目2の先進的な医療機器では、国内でまだ3台しか稼働していないMR-PET装置(MRIとPET検査を同時に行える装置)や、分子標的療法の治療効果測定を生検ではなく血液検査だけで済ませられる血清HER2装置などの導入を予定している。
項目4〜5は、新病院での活動を女性医療のロールモデルとし、ブランド確立することが目的となる。項目3のシーメンススタッフの常駐は、医療機器の稼働を最適化する以外に、項目4の次世代装置の共同研究開発にも関わってくる。
織畠氏は、「日本にはグローバルリファレンスサイトは幾つかあるが、女性医療にフォーカスした事例は初になる。また、コンサルテーション、機器提供、ファイナンシャルサービスを含めてかなりの事業規模になると思う」と述べている。
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