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超音波検査による乳がん検診のランダム化比較試験の結果を公表医療技術ニュース

東北大学は、乳がん検診における超音波検査の有効性を検証する比較試験を実施し、主要評価項目についてデータを公表した。マンモグラフィに超音波を加えることで、早期乳がんの発見率が約1.5倍になるなどの結果が得られた。

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 東北大学は2015年11月5日、40歳代の女性を対象に、乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験を実施し、主要評価項目(感度、特異度、がん発見率)に関するデータを公表した。同研究では、マンモグラフィに超音波を加えることで、早期乳がんの発見率が約1.5倍になるなどの結果が得られている。同大大学院医学系研究科の大内憲明教授らのグループによるもので、成果は同日、英医学誌「the Lancet」電子版に掲載された。

 乳がんは早期に発見して治療することが重要だ。乳房をX線で撮影するマンモグラフィは、乳がんの早期発見に用いられており、死亡率減少効果が証明されている唯一の乳がん検診方法となっている。しかし、若年女性や高濃度乳房における有効性は、50歳以上の年齢層と比較して十分とはいえない。

 そこで同研究グループは、若年女性における検診での乳房超音波検査の有効性を検証する目的で、40歳代の女性を対象とした大規模なランダム化比較試験(RCT)を実施した。2007年7月から2011年3月にかけて、全国42の研究参加団体を通じ、7万6196人の女性から参加同意を得て実施。参加者は、1:1の割合でマンモグラフィに加えて超音波検査を実施するグループ(介入群)と、通常のマンモグラフィ検診を実施するグループ(コントロール群)にランダムに割り振られた。そしてそれぞれの検査方法で初回とその2年後の検診を受けた。

 論文では、主要評価項目として、感度・特異度・がん発見率、初回検診における発見乳がんのステージ分類を報告した。

 感度については、介入群で91.1%、コントロール群では77.0%と、有意差を持って介入群で上昇した(p=0.0004)。乳がん発見数、発見率についても、介入群は184(0.50%)、コントロール群は117(0.32%)と、介入群で有意に高値だった(p=0.0003)。

 また、発見がんのステージ別評価では、ステージIIまたはIII以上の発見がん数について差は見られず、超音波検査はステージ0あるいはIのがんの発見に寄与していることが明らかとなった。一方で、介入群では要精検率が有意に上昇し(12.6% vs 8.8%)、針生検などの侵襲的な追加検査の施行数も増加しており、検診の不利益も増加していることがわかった。今後、超音波検診導入による利益と不利益との相対バランスを厳密に検討することが不可欠だ。

 同研究は、大規模な超音波検査を用いた乳がん検診に関する比較試験として世界で初めてのものであり、この成果は日本および世界で増え続ける乳がん対策の重要な礎となることが期待される。

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