マンモグラフィーをCTで撮影、キヤノンが立位タイプの装置を開発中:Canon EXPO 2015 Tokyo
キヤノンは、プライベートイベント「Canon EXPO 2015 Tokyo」で、乳がん検査を行うマンモグラフィーをコンピュータ断層撮影(CT)で行える「Breast CT」を披露した。
キヤノンは、プライベートイベント「Canon EXPO 2015 Tokyo」(2015年11月4〜6日、東京国際フォーラム)において、乳がん検査を行うマンモグラフィーをコンピュータ断層撮影(CT)で行える「Breast CT」を披露した。商用化時期は明らかにしていない。
マンモグラフィーは、乳房をX線撮影することで、乳がんの有無などを検査する医用画像装置である。乳房を圧迫筒で上下から圧迫してのX線撮影を数回行うのが一般的だ。これに対してBreast CTは、乳房の検査をCTで行える装置になる。
現在一般的なヘリカルスキャン型のCT装置は、受検者が横たわる検査ベッドを動かしながら、検査ベッドの周囲にあるリング状のユニットに組み込まれたX線源と検出器によりCT撮影を行っている。
Breast CTの装置構成は、このヘリカルスキャン型CT装置のマンモグラフィー版といっていい。受検者は、立った状態でBreast CT中央の検査部に乳房を入れ、検査部の周囲に設置されているリング状ユニットによってCT撮影を行うことになる。
キヤノンは、X線撮影用のフラットパネルディテクタ(FPD)を世界で初めて製品化するなどX線の検出器については高い技術を有している。ただしX線源については「ほぼゼロベースから独自に開発した」(同社の説明員)。小型軽量かつ高出力で、乳房の付け根からきちんとCT撮影を行えるような工夫もこらしているという。
Breast CTによる乳がん検査時の被ばく量は、従来のマンモグラフィーと同等以下になる見込み。その上で、従来のマンモグラフィーでは難しかった、CT画像を基に乳房内部の状態を3D画像などで確認できるため、乳がんの早期発見に役立つとしている。
海外では、受検者がベッドに横たわる臥位タイプのCTが可能なマンモグラフィーをベンチャー企業が商品化している。しかし、従来のマンモグラフィーと同じ立位タイプの製品はないとみられる。
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