3Dプリンタ“ブーム”は終えんも、製造業の活用は着実に拡大へ:3Dプリンタニュース(3/3 ページ)
IDC Japanは、国内3Dプリンティング市場の2013〜2015年の実績と2020年までの予測を発表した。一般消費者向けのデスクトップ3Dプリンタ市場は、ブームの終えんによって縮小したものの、企業ユーザー向けのプロフェッショナル3Dプリンタ市場と付随する関連サービスと3次元造形材料の市場は今後も着実に拡大するという。
成長が期待される3Dプリンティング関連サービスと3次元造形材料
IDC Japanが国内3Dプリンティング市場で成長を期待しているのが、関連サービスと3次元造形材料だ。2015年の関連サービス市場は前年比62.1%増の118億3300万円、3次元造形材料も同77.3%増の85億4000万円となった。関連サービス市場は、3Dプリンティングサービスの認知と利用拡大に加え、2014年に設置されたプロフェッショナル3Dプリンタの保守サービスによって市場規模が押し上げられた格好。3次元造形材料は、プロフェッショナル3Dプリンタのユーザー企業の消費量増加によるところが大きい。
関連サービスと3次元造形材料の市場は今後も拡大が見込まれている。2015〜2020年の年平均成長率は、関連サービスが11.3%、3次元造形材料が28.5%に達するという。2020年の市場規模は、関連サービスが202億200万円、3次元造形材料が299億6900万円で、3Dプリンタ本体を上回ることになりそうだ。
ブームの終えんにより、一般消費者向けが中心のデスクトップ3Dプリンタ市場は縮小するものの、企業ユーザーが導入を増やすプロフェッショナル3Dプリンタ市場と、それに付随する関連サービス、3次元造形材料の両市場も増えるため、国内の3Dプリンティング市場は成長を維持する見込みだ。2015年の市場規模は、3Dプリンタ市場が大幅に減少したにもかかわらず、前年比4%増の344億8600万円となり、2015〜2020年も年平均15.3%で成長し、2020年には702億300万円に達するとしている。
会見の後半で菊池氏は、今後の国内3Dプリンティング市場で期待できる事例として、医療/歯科分野の事例を紹介した。特殊な抜き型を使う義歯の生産プロセスを革新したデンタスや、歯科治療に使う器具の製造を従来の半日から2時間に短縮した徳島大学病院診療支援部、材料にハイドロキシアパタイトを使うインクジェット方式の造形によってチタンよりも人体埋め込みの親和性を高めた人工骨を開発したネクスト21などである。
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