成長続く3Dプリンタ市場、2025年までに120億米ドル規模へ:市場調査/予測
ラックスリサーチは、2025年までに3Dプリンタ市場規模が120億米ドルまで成長する見込みだと発表した。航空宇宙、医療、自動車といった多くの産業分野で導入が増加することが要因だという。
先端技術専門の米系調査会社ラックスリサーチは2014年5月5日、2025年までに3Dプリンタ市場は全世界で120億米ドルを超える規模へと成長する見込みだと発表した。内訳は、プリンタ市場が32億米ドル、3Dプリンタ向け素材分野が20億米ドル、3Dプリンタによって製造された部品の市場が70億米ドル。成長の要因は、航空宇宙、医療、自動車、リテール向け商品、建築およびエレクトロニクスなど、多くの産業分野で導入の増加が予想されるためだという。3Dプリンタ関連の主要特許の一部が今後3年間で有効期限終了となり、コスト低下やより幅広い機能の提供が可能になることで導入が促進される見込みだ。
ラックスリサーチのリサーチアソシエートを務めるアンソニー・ヴィカーリ氏は、「一般消費者による3Dプリンタ利用が頻繁に取り上げられるが、金型や工作機器の製造、製造工程への導入など、産業利用による導入が市場拡大に大きく貢献する見込みだ。しかし、3Dプリンタは新しい市場であり、加工・印刷に必要な素材技術におけるさらなる革新が今後の市場拡大には必須だ」と述べている。
現在の3Dプリンタ市場は、3D Systems、Stratasys、EOS、Arcamの4社が全体の31%を占めている。この中で、Arcamのみが他サプライヤの素材利用が可能なサービスを提供しているという。
ラックスリサーチによれば、現在の3Dプリンタ市場は、通常のプリンタ(インクジェットプリンタやレーザープリンタ)と同様に、3Dプリンタ向けの素材を原価の10〜100倍の高マージン率で販売して利益を得るビジネスモデルであるという。同社は、このビジネスモデルが市場拡大のハードルになると指摘している。プロトタイプ作成を中心とした限定的な利用の場合には受け入れられたとしても、3Dプリンタの製造工程への本格導入には大きな障害になると予想されるという。
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