自動運転車のアルゴリズムを市街地で試すには?:TECHNO-FRONTIER 2016
構造計画研究所は、「TECHNO-FRONTIER 2016」において、開発ツールやプログラム言語で作成した自動運転車などの制御システムと連携可能な交通シミュレータ「PTV Vissim/Viswalk」を紹介した。
構造計画研究所は、「TECHNO-FRONTIER(テクノフロンティア) 2016」(2016年4月20〜22日、幕張メッセ)において、開発ツールやプログラム言語で作成した自動運転車などの制御システムと連携可能な交通シミュレータ「PTV Vissim/Viswalk」を紹介した。
構造計画研究所では、自動車メーカーやサプライヤがモデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」で開発した自動運転の制御システムや、プログラム言語で作成したさまざまなアルゴリズムを、PTV Vissim/Viswalkと連携させる評価サービスを提案している。
PTV Vissim/Viswalkは、一般道や高速道路をリアルに再現した交通シミュレータ。車線数、速度制限や通行規制、信号が変わるタイミング、交通量などを設定して実際の道路交通に近い状況を作ることができる点を特徴とする。右側通行と左側通行のどちらも選択でき、日本国内だけでなく欧米の道路環境もシミュレーションすることが可能だ。
往来するクルマは、時速40kmで走行する車両を30台、時速50kmで走行する車両を40台、というように、さまざまな運転傾向を混在させる設定ができる。「パラメーターの設定を工夫すれば、運転の地域性をシミュレータ上で再現することも可能」(構造計画研究所の説明員)とする。
これにより、実際の車両に自動運転システムを搭載して走行する前に、公道に近い環境で円滑な挙動が可能かを分析することができるとしている。複数の自動運転車を一般車両に混在させた場合の交通流などについても試験することが可能だ。
自動運転以外にも、路車間/車車間通信に求められる精度や安定性の評価や、他の車両を含めた走行環境における駆動系システムの性能評価にも対応する。また、右側通行の車両の先進運転支援システムを左側通行の市場に導入する際など地域適合作業が求められる場合にも活用できるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日本で公道試験をやっていいのはレベル2の自動運転まで、警察庁のガイドライン
警察庁は2016年5月7日まで、自動運転システムの公道試験に関するガイドライン案に対する意見を募集する。公道試験を行おうとする自動車メーカーやサプライヤなどが、安全かつ円滑な交通を維持する上で留意すべき事項をガイドラインとしてまとめた。強制力はないが、手動で運転するドライバーと同様に法令で義務付けられる事項も含まれる。 - 日本で自動運転システムを実用化するために解決すべき5つの課題
自動運転システムの開発を目指す「SIP-adus」では、日本国内で自動運転車を実現する上で解決すべき5つの研究開発テーマを設けている。また、2020年に東京で、自動運転システムを利用した次世代公共交通の実現を目指すことも目標に掲げている。 - 自動運転車が“究極”のテスト、米国横断に挑む
Delphi Automotive(デルファイ)は、同社の予防安全技術を搭載した自動運転車を用いて米国横断の実証実験に挑むと発表した。2015年3月22日にカリフォルニア州サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジ付近を出発し、東海岸までの約3500マイル(約5632km)を自動運転で走破することになる。 - 政府が自動運転開発方針を整理、2020年目標「ラストワンマイル自動運転」とは
国土交通省と経済産業省は、共同で実施している「自動走行ビジネス検討会」で取りまとめた、自動運転技術の競争力強化に向けた産官学の具体的な協調方針を発表した。2018年までに高速道路でレベル2の自動運転を実現し、2020年ごろからバレーパーキングや隊列走行を実用化する。これを目指し、8つの協調領域で産官学が連携する。