日本で自動運転システムを実用化するために解決すべき5つの課題:2020年に東京で先行実現(1/3 ページ)
自動運転システムの開発を目指す「SIP-adus」では、日本国内で自動運転車を実現する上で解決すべき5つの研究開発テーマを設けている。また、2020年に東京で、自動運転システムを利用した次世代公共交通の実現を目指すことも目標に掲げている。
ITS Japanは2015年3月9日、東京都内で「第9回日本ITS推進フォーラム 総合シンポジウム」を開催した。
日本政府は、日本政府の問題点として指摘されている縦割り行政による弊害をなくした府省横断型の体制により、日本の経済・産業競争力の強化に向けた10のプログラムに取り組む「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」を推進している。それらの1つに、自動運転(自動走行)システムの開発を目指す「SIP-adus」がある。同シンポジウムでは、SIP-adusが自動運転システムの実現に向けて取り組む5つの研究開発テーマの概要が紹介された(関連記事:自動運転技術開発担当PDの渡邉氏が意気込み、「国がやるR&Dの新しい形見せる」)。
走行環境をモデル化したダイナミックマップ
自動運転システムの実現には、現在のGPS(全地球測位システム)より高精度な位置情報の取得が必要となる。そこでSIP-adusでは、車線数などを含む詳細な道路情報に、渋滞や事故などの道路状況、交通ルール、天気、路面情報といった複数の情報を統合したダイナミックマップの作成に取り組む。ダイナミックマップの情報と、車両に搭載されるセンシングシステムを組み合わせれば、自動運転車は高精度な周辺情報の認知が可能になる。
現在、東京都お台場地区で、ダイナミックマップの作成に向けた実証実験が行われているという。渋滞や事故などの道路状況、道路の構造データ、さらに民間の地図会社がリアルタイムに収集している情報などを集約して、ダイナミックマップの基盤となるデータベースの作成を目指す。将来的にはこのデータベースの情報を、地図ベンダーなどの民間企業に提供していく方針だという。
また、ダイナミックマップについての説明を行った日産自動車の白𡈽良太氏は、2014年11月17〜18日に東京都内で自動運転技術の実用化に向けた国際会議「SIP-adus Workshop」において、欧州や米国ともダイナミックマップの作成が自動運転システムの実現に向けた重要な要素であるという認識を共有したことを報告した。
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