木材の“暖かみ”や金属の“冷たさ”が分かる、デンソーの熱流センサー:MEDTEC Japan 2016
デンソーは、「MEDTEC Japan 2016」において、熱流センサー「ラフェスパ」を展示した。他社の熱流センサーと比較して4倍以上の感度で熱流を測定でき、同社の多層プリント基板技術「PALAP」により柔軟性も有している。
デンソーは、医療機器設計/製造の展示会「MEDTEC Japan 2016」(2016年4月20〜22日、東京ビッグサイト)において、熱流センサー「RAFESPA(ラフェスパ)」を展示した。これまで日置電機にOEM供給していたものを、2016年5月からデンソーブランドで外販する。
ラフェスパは熱の移動量を計測する熱流センサーだ。熱流センサーは温度センサーと同様に熱電対を使う点では同じだが、熱流センサーは熱電対を表裏に多数並べることで熱の移動量を計測できる。ラフェスパは、この熱電対材料について、一般的な金属材料(NiCr系)から熱電変換効率の高い半導体材料(BiTe系)に置き換えるとともに、デンソーの多層プリント基板技術「PALAP」で高密度に実装した。これにより、他社の熱流センサーと比較して4倍以上の感度で面積当たりの熱量の大きさとして電流を測定できるとする。
また従来の熱流センサーと異なりセンサー本体の厚みが薄いことから、人の腕や配管といった曲面の熱流計測にも対応する柔軟性を有している。最終工程で一括プレスを行うPALAPを適用しているので、4MPaまでの高耐圧の加圧下でも計測できる。
このため用途としては、エンジンの放熱計測や住宅の断熱評価、医療機器やヘルスケア機器であれば人体からの放熱計測などに利用できるとしている。またデンソーの説明員は、「人間は木材に触れた時に“暖かみ”を感じ、金属に触れた時に“冷たさ”を感じる。これは、木材の表面温度が高く金属が低いからではなく、各材料の熱伝導率による熱の移動量の違いを人間の肌が感じとっているのだ。この感覚は温度センサーでは計測できないが、フレキシブルな熱流センサーであるラフェスパであれば可能だ。人間の肌感覚を再現するセンサーという新しい用途提案もしていきたい」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 人体の深部温度を24時間モニタリングできる超小型センサー、見守りに最適
オムロン ヘルスケアは、「CEATEC JAPAN 2015」において、体表に貼り付けることで人体の深部温度(体温)を24時間モニタリングできる超小型センサーを展示した。2017年度の商品化を目指して開発を進めている。 - ミリ波レーダーで居間にいる家族全員の心電図が見られる、センサーは10cm角に
パナソニックと京都大学が、両者が共同開発しているミリ波レーダーを用いた非接触の生体情報センシング技術について説明。心拍だけでなく心拍間隔も計測できる高い精度と、測定対象が1人だけでなく複数人数の同時計測が可能な点が特徴。将来的には、センサーモジュールを10cm角まで小型化することも視野に入れている。 - 血流を電波で観測、非接触の心拍センサーを九工大が展示
九州工業大学は、「CEATEC JAPAN 2014」で、非接触の心拍センサーを参考出展した。血液の動きを電波の反射を利用して検知するもので、体動の他、心拍と呼吸数も算出できる。介護などの用途を想定する。 - 人の動きや呼吸を見守る非接触式の静電容量型フィルム状近接センサー
産業技術総合研究所は、非接触式の静電容量型フィルム状近接センサーを開発したと発表した。人の目に触れないところに設置して、使用者に精神的・肉体的な負担をかけることなく、人の動きや呼吸が検出できる。 - デンソーが感度4倍の熱流センサーを開発、医療機器から自動車まで幅広く提案する
デンソーは、「MEDTEC Japan 2016」において、半導体を使用した高感度/薄型の熱流センサー「RAFESPA(ラフェスパ)」を披露する。従来は計測器メーカーに納入していた同製品をデンソーブランドで販売し、医療機器や自動車など開発時の熱解析が求められる分野に向けた提案を強化する。