製造業IoTに新たなデファクト誕生か、ファナックらが人工知能搭載の情報基盤開発へ:スマートファクトリー(4/4 ページ)
ファナックやシスコシステムズら4社は、製造現場向けのIoTプラットフォームとして「FIELD system」を開発し、2016年度中にリリースすることを発表した。競合メーカーの製品なども接続可能なオープンな基盤とする方針。製造業IoTでは各種団体が取り組むが、ファナックでは既に製造現場に350万台以上の機器を出荷している強みを生かし「現場発」の価値を訴求する。
FAとITを結ぶインテグレーターとのパートナーシップも
これらを実現していくためには、インテグレーターの協力が欠かせないが、従来のインテグレーターはFA専門やIT専門のようにこれらの両領域をまたいでシステム構築を行う企業が少ない状況だった。これらに対しファナックでは「トータルインテグレーションパートナー」として両領域をカバーするパートナー企業を選定して、「FIELD system」の導入を進めていく考えだ。
稲葉善治氏は「先行して提案した企業からは多くのパートナー候補が手を挙げており、今後に対する手応えを感じている」と述べている。
「製造業の情報基盤のデファクトになりたい」
ファナックでは、この「FIELD system」を「秋から冬にかけてリリースしたい」(稲葉善治氏)としており、2016年9月に開催予定のIMTS(シカゴ国際工作機械見本市)および、同年11月開催のJIMTOF(日本国際工作機械見本市)で、実製品の展示を行う考えを示している。
さらに「FIELD system」をベースにアプリケーションを提供するマーケットプレースの用意なども検討しており「スマートフォンのアップストアのように、製造装置のアップストアを用意し、製造ラインのニーズに合わせて柔軟にアプリケーションを提供できる環境を目指していく」と稲葉善治氏は述べている。
製造業のIoT活用では、世界中で団体やグローバル企業などがさまざまな取り組みを進めているが「最終的に全ては『現場』を動かすことが重要になる。オープンなシステムとして展開していくことで、製造現場の新たなデファクトスタンダードとしていきたい」と稲葉善治氏は目標を述べている。
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