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製造業IoTに新たなデファクト誕生か、ファナックらが人工知能搭載の情報基盤開発へスマートファクトリー(3/4 ページ)

ファナックやシスコシステムズら4社は、製造現場向けのIoTプラットフォームとして「FIELD system」を開発し、2016年度中にリリースすることを発表した。競合メーカーの製品なども接続可能なオープンな基盤とする方針。製造業IoTでは各種団体が取り組むが、ファナックでは既に製造現場に350万台以上の機器を出荷している強みを生かし「現場発」の価値を訴求する。

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4社による協業の役割分担

 「FIELD system」では、製造現場の機器およびこれらに搭載されたセンサーをファナックが担い、これらの情報を収集するネットワーク機器およびハードウェアをシスコが担当する。「FIELD system」のデモシステムでは、シスコの「UCS C220 M3S」に情報を収納するシステムを構築していた。またロックウェルは、センサー技術の提供や上位や下位の産業用ネットワークとの連携、システムインテグレーションなどで協業を進める。

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シスコの「UCS C220 M3S」

 さらに、新基盤の特徴となっているのが、PFNが提供する深層学習や機械学習などの人工知能関連技術を基盤に搭載した点である。PFNとファナックでは既に2015年6月に「機械学習を活用した産業用ロボット技術の高度化」に向けた技術提携を行っており、2015年12月に開催された国際ロボット展では、機械学習により熟練技術者が数日かかるティーチング精度を8時間で達成するなどの成果を残している※)

※)関連記事:熟練技術者のスキルを8時間で獲得、ファナックが機械学習ロボットを披露

 同技術を「FIELD system」上で活用できる他、さらに同時に3台のロボットで機械学習を進めることで、従来8時間掛かっていたティーチング作業を3分の1に低減することなども可能としたという。

photophoto PFNの機械学習機能を採用したデモ。3台の学習データをリアルタイムで共有することで1台による機械学習で必要だった時間の3分の1でティーチングが可能となる。同システムでは、学習データをそのまま共有する仕組みと学習した知見だけを共有する仕組みの両方のソリューションが用意されているという(クリックで拡大)
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PFN 代表取締役社長でCEOの西川徹氏

 PFNの代表取締役社長でCEOの西川徹氏は「IoTの普及によるデバイスの進化と人工知能の進化、分散協調型の新しいコンピューティングを組み合わせることで新たな価値を創出できると考えている。リアルタイムでの制御が必要なIoTの世界では分散協調型のコンピューティングの相性が非常によく、そこが当社の強みでもある。ファナックとの協業により実現した分散型の機械学習技術はこれらを活用して商業利用を実現する最初の例となる」と語っている。

 ファナックとPFNの協業による深層学習や機械学習の活用では、この例の他に、異常検知や予防保全などの開発も現在進めているところだとしている。PFNでは、機械学習・深層学習の技術基盤にさまざまなソリューションを開発・実装できる基盤として「DIMo」を用意しているが、産業用ロボットの作業用途に特化したプラットフォームを「FIELD system」上で展開する予定だとしている。

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PFNが展開するDIMoの構成図(クリックで拡大)出典:PFN

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