トヨタが米国でテレマティクス保険、人工知能の活用も視野に:車載情報機器
あいおいニッセイ同和損害保険とトヨタ自動車らは、米国でテレマティクス自動車保険を開発、提供する新会社を設立した。2016年秋から試験的にサービスを展開し、2017年から本格的な事業として動き出す。各社のノウハウを融合し、新たな保険サービスの開発を支援する。
あいおいニッセイ同和損害保険(AD)とトヨタファイナンシャルサービス(TFS)、トヨタ自動車は2016年4月13日、米国でテレマティクス自動車保険を開発、提供する新会社を設立したと発表した。2016年秋から試験的にサービスを展開し、2017年から本格的な事業として動き出す。金融を扱うTFSと、テレマティクス自動車保険を展開してきたADのノウハウを融合し、新たな保険サービスの提供につなげる。トヨタ自動車がMicrosoft(マイクロソフト)と設立した合弁会社、トヨタコネクティッド(TC)も、データ分析の強みを生かして新会社と連携していく。
新会社「トヨタ インシュランス マネジメントソリューションズUSA(TIMS)」は米国カリフォルニア州南部のTFS米国法人近くに本拠地を置く。資本金は900万米ドル(約9億7200万円)のうち、ADの米国法人が50%、TFSの米国法人が45%、TCが5%を出資して2016年4月1日に設立した。
TIMSでは、通信モジュールを搭載した米国内のトヨタ車から収集した走行履歴や運転情報をADとTCが分析する。これを基に、米国に特有の運転傾向などを明らかにし、現地保険会社のテレマティクス自動車保険の開発を支援する。保険の販売は行わない。
ADは2014年、イギリスでテレマティクス保険のシェア最大手のInsure The Box(ITB)を買収し、テレマティクス保険事業を強化している。ITBは2011年の設立後、30万件のテレマティクス保険を販売した実績がある。ADはITBがテレマティクス保険で培ったノウハウをTIMSで活用する。
TIMSの事業は米国だけでなくグローバルに展開する。また、蓄積したテレマティクス保険のデータは、トヨタ自動車が米国に設けた人工知能開発拠点、Toyota Research Institute(TRI)でも活用していく計画だ。
トヨタ自動車とADは、テレマティクスサービス「G-BOOK」「T-Connect」と連動した自動車保険を国内向けに提供してきた。事故発生時に車載情報機器やドライバーのスマートフォンから専用の受付デスクに連絡することが可能だ。T-Connectの通信機能を利用し、1km単位の走行距離に応じた保険料の設定も行える。走行距離や運転時間、燃費などクルマの使い方に応じた運転アドバイスも提供している。
関連記事
- トヨタはマイクロソフトとのビッグデータ合弁でIoTも視野に入れる
トヨタ自動車は、マイクロソフトと共同で、市場で走行する車両から得られる情報の集約と解析、その結果の商品開発への反映を目的とした新会社Toyota Connected(TC、トヨタ・コネクティッド)を設立したと発表した。 - トヨタの新テレマティクス「T-Connect」はマイクロソフト+IBM+Linux?
トヨタ自動車の新テレマティクスサービス「T-Connect」は、マイクロソフトの「Azure」をはじめIT系企業のサービスやソフトウェアを活用するとともに、対応カーナビである「T-Connectナビ」をLinuxベースに変更するなど、現行サービスの「G-BOOK」から大幅な刷新が図られている。 - トヨタがシリコンバレー進出、人工知能開発拠点の新会社を設立
トヨタが人工知能技術の研究開発拠点として、新会社「TOYOTA RESEARCH INSTITUTE(TRI)」を2016年1月に米カリフォルニア州に設立する。 - 自動車保険のビジネスモデルを自動運転車が破壊する――格付け会社が予測
格付け会社のMoody’s(ムーディーズ)は、自動運転車の普及によって自動車保険会社のビジネスモデルが大きな影響を受けるだろうという見通しを発表した。 - 自動車保険の運転支援サービス向けドラレコ、IoT技術を活用
東芝は、損害保険ジャパン日本興亜が2015年3月から開始する企業向け安全運転支援サービス「スマイリングロード」向けに通信機能付きドライブレコーダーを供給する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.