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日本で公道試験をやっていいのはレベル2の自動運転まで、警察庁のガイドライン自動運転技術(2/2 ページ)

警察庁は2016年5月7日まで、自動運転システムの公道試験に関するガイドライン案に対する意見を募集する。公道試験を行おうとする自動車メーカーやサプライヤなどが、安全かつ円滑な交通を維持する上で留意すべき事項をガイドラインとしてまとめた。強制力はないが、手動で運転するドライバーと同様に法令で義務付けられる事項も含まれる。

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自動運転車の運転席に座ってもいい人とは

 自動運転システムの公道試験で運転席に座るテストドライバーには、一般のドライバーと同様の前提条件が課される。例えば、車両の種類に応じた運転免許を保有する必要があり、道路交通法をはじめとする関係法令における運転者としての義務を負わなければならない。交通事故や交通違反が発生した場合は、道路交通法に基づいてテストドライバーが運転者として責任を負う必要がある。

 テストドライバーが、公道試験を行う自動車メーカーやサプライヤの構成員でない場合は書面で上記について確認を取るべきだとしている。

 公道試験中は、見通しがよく交通量が少ない場合は手をステアリングに添えない姿勢でもよいとしている。しかし、見通しが悪く、交通量が多い場合などは緊急時の操作を行う可能性が高い場合は、ステアリングに手を添えるべきだと述べている。

 公道試験中に交通事故や交通違反が発生した場合、事後に十分な検証が行えるよう、ドライブレコーダーやイベントデータレコーダーを搭載することが望ましいとしている。また、自動運転中に事故や違反があった時の車両情報やセンサーの作動状況についても、事後検証に利用できる形で記録/保存するよう求めている。自動運転システムの不具合や、ドライバーがシステムを過信したことによって交通事故が発生した場合、再発防止策を講じるまで公道試験を行わないよう求める。

 テストコースなどでの安全確認を終えて公道試験を始めてから当分の期間は、テストドライバーに次のような要件を求めている。

  • 相当の運転経験があり、運転技術が優れていること
  • 実験車両の自動運転システムの仕組みや特性を十分に理解していること
  • テストコースなどで実験車両の自動運転システムを用いて運転した経験があり、緊急時の操作に習熟していること

 また、自動運転システムの実用化に向けた検証の一環で上記の要件を満たさないテストドライバーが乗車する場合は、上記の要件を満たすテストドライバーによって事前に安全性を確認しなければならない。また、公道試験を行う自動運転システムについて十分に理解している人による、事前のレクチャーや公道試験中の同乗を奨励している。

欧米のガイドラインは

 イギリスや米国、国際自動車連盟でも、自動運転システムの公道試験についてガイドラインが定められている。それぞれのガイドラインと警察庁のガイドライン案は大筋で共通した内容となっているが、一部は独自の項目も含まれている。

欧米で定められている自動運転システムの公道試験のガイドライン
欧米で定められている自動運転システムの公道試験のガイドライン (クリックして拡大) 出典:警察庁

 例えば、イギリスでは、救急隊との契約や警察にナンバーを提供することを推奨している。米国の運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、公道試験前にテストコースなどで自動運転システムが無事故で一定距離を走行したことを証明する記録や実験データを提出するよう求めている。また、テストドライバーが自動運転車の制御に関する試験に合格し、基本的な理解や知識を習得したことを条件に、州政府が自動運転車の運転を認める免許を発行すべきだと定義している。

 各ガイドラインで共通して、運転席にテストドライバーが乗車することや、緊急時にテストドライバーが運転することを要求している。テストドライバーが自動運転車について十分な訓練を積むことも求めている。

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