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iPS細胞などを閉鎖的に大量培養できる、幹細胞用自動培養装置:医療機器ニュース
ニプロは、幹細胞用自動培養装置「CELLAFORTE(セラフォルテ)」の受注生産による販売を開始した。ES/iPS細胞や間葉系幹細胞などの大量培養が可能になり、閉鎖系培養システムによって細胞混入や汚染のリスクが低減する。
ニプロは2016年4月1日、幹細胞用自動培養装置「CELLAFORTE(セラフォルテ)」の受注生産による販売を開始した。
CELLAFORTEは、同社独自の培養バッグを採用。ES/iPS細胞や間葉系幹細胞(MSC)などの接着細胞全般を、閉鎖的かつ効率的に大量培養することができる。この閉鎖系培養システムによって、シャーレやフラスコといった開放系容器に比べて細胞混入や汚染のリスクが低減される。
また、細胞を培養バッグの上下面に接着させて培養するため、1ユニットの運転で数100万個の細胞を数億個まで増殖可能だ(ES/iPS細胞の場合)。独立型の2つの培養ユニットで、2種類の細胞を同時に培養することもできる。最大搭載培養バッグ数は4袋(2袋/1ユニット×2)となっている。
さらに、観察カメラを搭載しており、培養中に細胞のモニター表示や写真撮影・保存が可能だ。装置の外形寸法は幅2500×高さ1800×奥行き750mm、重量は約600kgと、コンパクト化・軽量化した。ただし、研究用であり、臨床用途では使用できない。
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