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細胞の損傷を抑え、均質に撹拌できる動物細胞培養撹拌装置を発売:医療機器ニュース
理化学研究所は、佐竹化学機械工業と共同で、細胞の損傷を抑えつつ、均質に撹拌できる動物細胞培養撹拌装置「VerSus Reactor」を製品化した。
理化学研究所(理研)は2015年8月12日、佐竹化学機械工業(佐竹)と共同で、細胞の損傷を抑えつつ、均質に撹拌できる動物細胞培養撹拌装置「VerSus Reactor(バーサスリアクター)」を製品化し、7月に販売開始したと発表した。
動物細胞培養撹拌装置は、撹拌翼を動かすことによって培養槽内の培養液を均質に保つ必要がある。しかし、動物細胞はもろく、撹拌翼のせん断力で損傷を受けやすいため、良好な培養環境の構築には、均質な撹拌を保ちつつ、せん断力を低く抑える必要があった。
理研と佐竹では、2011年4月から2015年3月まで、動物細胞に最適な低せん断培養装置の研究開発を共同で進めてきた。佐竹では、既存製品の上下動撹拌装置「SATAKE VMOVE MIXER(サタケ ブイムーブ ミキサー)」をベースとし、今回新たにVerSus Reactorを開発した。
VerSus Reactorは、従来の回転式ではなく、上下の動きで撹拌時の細胞の損傷を低く抑えながら、均質な撹拌ができる。これにより、細胞の性質・状態やタンパク質発現など、良好な結果を得られるという。
今後は、主に製薬会社などで行われている抗体や酵素の生産などへの活用が期待されるとしている。
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