ジェネレーティブデザインを切削加工で生かす「Inventor 2017」、STLの再編集も:CADニュース(2/2 ページ)
オートデスクは、製造業向け3次元CADツール「Inventor」の最新バージョン「Inventor 2017」を発表した。「Inventor 2016 R2」で追加した最適構造を導き出すジェネレーティブデザインの充実に加え、3Dプリンタの普及によってインターネット上での流通が広がっているSTLファイルの再編集機能などさまざまな強化を図った。
STLファイルを「Inventor」上で再編集
相互運用性の向上では、Inventor以外のCADデータを変換することなく扱えるようにする「AnyCAD」の機能を拡充した。今回の拡充では、InventorのユーザーがInventor以外で最も多く扱うであろう「AutoCAD」のDWGファイルとの連携を深め、世界で最も広く利用されているISOベースの中間フォーマットであるSTEPファイルに対応した。
DWGファイルとの連携では、AutoCADで行った図面の変更が、Inventorの3次元CADデータにもすぐに反映されるようになった。また、STEPファイルの対応により、「CATIA」「SOLIDWORKS」「NX」「Creo」といった大手ベンダー以外の3次元CADツールとのデータ連携がようになるとしている。
さらに興味深い機能となるのがポリゴンメッシュデータであるSTLファイルを、Inventor上で再編集する機能である。例えば、円形に見える形状のSTLファイルがあっても、実際はポリゴンメッシュから構成されているため、CADツール上では多角形として扱われるという問題があった。Inventor 2017では、ポリゴンメッシュのエッジを参照してソリッドデータに変換できるので、STLファイルの再編集が容易になったとする。
コミュニケーション機能については、クラウドサービス「A360」を用いた設計共有や、タイムラインベースで動きを定義できる設計プレゼンテーション機能、ユーザーからの要望が最も多かった3D PDF出力への対応などが挙げられる。
加藤氏は「シェイプジェネレーターの拡充、STLファイルの再編集といった新機能は、ポリゴンメッシュデータを扱うCGツールも手掛けているオートデスクだからこそ実現できた機能といえるだろう」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- コンピュータが最適な形状を提案してくれる「Inventor 2016 R2」
オートデスクは、製造業向け3次元CADソフトウェア「Inventor」の最新バージョン「Inventor 2016 R2」の提供を開始。コンピュータが最適形状を導き出し、設計者に提示する「ジェネレーティブデザイン」の設計アプローチが組み込まれている。 - フリーフォーム機能や他社CAD連携、3Dプリンタ利用がさらに強化された「Inventor 2016」
オートデスクは、製造業向け3次元CADソフトウェア「Inventor」の最新バージョン「Inventor 2016」を発表した。ユーザーからの声を反映し、フリーフォーム機能の強化など使い勝手が向上。さらに、他社CADデータとの連携や3Dプリンタ利用を支援する機能などが強化された。 - 「Inventor」の中には工作機械が全部入っている! 電動バイク「zecOO」開発秘話
「第26回 設計・製造ソリューション展(DMS2015)」で、オートデスクは「Autodesk Inventor」のユーザートークショーを実施。電動バイク「zecOO(ゼクー)」のデザインを担当したznug designの根津孝太氏と、車体製造を担当したオートスタッフ末広の中村正樹氏がzecOOの開発秘話を紹介した。 - フリーフォームに対応した3次元CADやBOM機能を強化したPDMをリリース
オートデスクは製造業向けアプリケーションとして、3次元CAD、PDM、シミュレーション関連ソフトの新バージョンを発表した。 - Autodesk製品群、新しいタイプのアセンブリ機能を追加
オートデスクの製造業向けアプリケーション群の新製品が続々と発売になる。3次元CADには形状から部品の動作を自動認識して組み立てる機能など追加された。大規模アセンブリの表示も速くなった。