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Autodesk製品群、新しいタイプのアセンブリ機能を追加3倍速い! 大規模アセンブリ表示にも注目

オートデスクの製造業向けアプリケーション群の新製品が続々と発売になる。3次元CADには形状から部品の動作を自動認識して組み立てる機能など追加された。大規模アセンブリの表示も速くなった。

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 オートデスクは2013年4月10日、「Autodesk Inventor」(以下、Inventor)をはじめとする製造業向けアプリケーション群の新製品を発表した。今回は同社のクラウドサービス「Autodesk 360」と各アプリケーションとの連携強化、異なるシミュレーションツール間の連携強化が新機能の目玉となった。

 以下では、同製品群に導入された多数の新機能の一部を紹介する。

Autodesk Inventor

 3次元CADの新製品「Autodesk Inventor 2014」(Inventor 2014)は、新しいアセンブリ機能を採用した。従来の面や軸を拘束させる手段と併せて、「回転」「スライダ」といった「フィーチャ形状から組み付け後の動作を自動認識して設定できる」機能を備えた。

 代表的な機能は、下記。

  • 「回転」:軸や穴の形状から、軸に沿った回転動作を認識する。
  • 「スライダー」:レール形状から、スライドガイドのような動作を認識する。
  • 「球」:球体と穴が組み合わさった際のボールジョイントのような動作を認識する

回転

スライダー

 スケッチについては、新たにスロット(長穴)を描画する機能を追加。中心線や穴の幅などを指定することで簡単に作図できる。

 大規模アセンブリのパフォーマンスも大幅に改善。前バージョンと比較してフレームレートは3倍速になり、同社のデモンストレーションの計測結果によれば、大規模アセンブリの読み出し(ファイルオープン)の時間は、前バージョン比で5〜10分の1に短縮したという(以下のデモンストレーション参照)。


大規模アセンブリ表示時間の比較。バージョン2013と2014:部品点数は約2000点

 BIM(ビルディングインフォメーションモデル:建築向け3次元データ)は変換の機能も拡張。InventorからBIMへデータを渡す際、必要な機械設計データを建築設計側のデータに直接書き込めるようにした。データの軽量化や機密保持などの理由で、BIM変換時に形状を簡素化したい場合は、対象の形状をクリックするだけで不要な形状を取り払うことが可能だ。

Autodesk Simulation 2014

 オートデスクのシミュレーションツールのシリーズ「Autodesk Simulation 2014」は、それぞれのツールの連携を強化した。構造解析ツール「Autodesk Simulation Mechanical 2014」(Simulation Mechanical 2014)では、流体解析ツール「Autodesk Simulation CFD 2014」(Simulation CFD 2014)の温度分布をマッピング化し、それを熱荷重として構造解析できる。樹脂流動解析ツール「Autodesk Simulation Moldflow 2014」(Simulation Moldflow 2014)では、Simulation CFDと連携して「コンフォーマル冷却」(複雑な3次元形状に沿ったタンクを使った冷却)の解析が可能だ。


コンフォーマル冷却解析の例

 それぞれのツールの主な新機能は、下記に示す。

構造解析「Autodesk Simulation Mechanical 2014」

 Simulation Mechanical 2014は、最適化解析の機能を追加。Inventorの設計パラメータのデータを取り込み、複数の設計案の検証ができる(線形静解析のみ)。全ての設計案は3次元形状のプレビューとともに表組みされ表示。解析結果はCSVファイルとしてエクスポート可能だ。

 設計者向けの非線形解析機能も追加。「落下解析ウィザード」では、解析に必要な定義を1つのウィザードに集めた。見掛け上シンプルな事象の落下は、解析条件が非線形。従来機能で解析するためには、解析専任者レベルの知識が必要で、解析に明るくない設計者にとっては難易度が高かった。


落下解析ウィザード

流体解析「Autodesk Simulation CFD 2014」

 Simulation CFD 2014は、より複雑な流体解析に対応した。同製品では自由表面流れを扱えるVOF(Volume of Fluid)法による解析が実施できる。自由表面は、液体と気体など異相間の複雑な面(相の境の面)のことで、容器などに注ぎこまれる液体、撹拌(かくはん)された液体の挙動を表現できる。また、前バージョン2013では単一の乱流モデルのみだったが、バージョン2014では複数の乱流モデルを備えた。


自由表面流れの解析例

樹脂流動解析「Autodesk Simulation Moldflow 2014」

 Simulation Moldflow 2014は、熱可塑(かそ)性および熱硬化性樹脂の3次元圧縮成形や射出圧縮成形に対応。自動車の樹脂製窓の低歪成形検証や、長繊維強化樹脂の繊維破断の抑制対策が行える。

解析のクラウドサービス「Autodesk Sim 360 Pro」

 今回、従来あった解析のクラウドサービスを「Autodesk Sim 360 Pro」として強化。それぞれの機能も、同社のスタンドアロンの解析ツールに準じた。このサービスでは、熱流体解析と、機械系と建築系それぞれの構造解析を提供する。

 年間ライセンスは、55万200円。このサービスでは、「クラウドクレジット」という通貨を定義。1ジョブ(内訳は後述)に対するクレジットを定め、使用限度を「1800クラウドクレジット」とした。上限を超える場合は、クラウドクレジットを追加で購入する。

 以下は、サービスで提供する解析と、1ジョブ当たりのクラウドクレジットだ。

  • Mechanical 360(機械系構造解析):1ジョブ=15クラウドクレジット
  • RSA 360(建築系構造解析):1ジョブ=5クラウドクレジット
  • CFD 360(熱流体解析):1ジョブ=15クラウドクレジット

 こちらは同年4月12日から英語版のみで提供開始。日本語版は5月以降に提供開始予定だ。

解析データ管理を強化したPDM「Autodesk Vault 2014」

 Simulationの各ツールで3次元データを利用する際、「Autodesk Vault 2014」を仲介することで、3次元データに付随したデータ情報とリンクできる。従来は、ぱっと見の形状は分かっても、実際にどの3次元モデルを使って解析したのか探しづらい問題があった。

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