フリーフォーム機能や他社CAD連携、3Dプリンタ利用がさらに強化された「Inventor 2016」:CADニュース(1/2 ページ)
オートデスクは、製造業向け3次元CADソフトウェア「Inventor」の最新バージョン「Inventor 2016」を発表した。ユーザーからの声を反映し、フリーフォーム機能の強化など使い勝手が向上。さらに、他社CADデータとの連携や3Dプリンタ利用を支援する機能などが強化された。
Autodesk(以下、オートデスク)は2015年4月14日、製造業向け3次元CADソフトウェア「Inventor」の最新バージョンを発表。同年4月15日より提供を開始する。
実は動作も軽くなった「Inventor 2016」
Inventorの最新バージョン「Inventor 2016」では、前バージョン(Inventor 2015)から追加されたフリーフォーム機能をさらに強化。これまでは用意されたフリーフォーム形状を基に編集していかなければならなかったが、Inventor 2016ではユーザーが作成した任意のサーフェス形状からフリーフォームを始められるようになった。また、既存のソリッドモデルをフリーフォームモデルに変換する機能も追加された。「ソリッド形状やパラメトリックな数値定義された形状に対して、より自由な形状を追加していくことが可能になった」(同社)。また、操作性やパフォーマンスも向上しており、これまで以上に使い勝手が良くなっているという。
また、ダイレクトモデリングの機能強化として、スケールコマンドの追加がなされている。例えば、Inventorで作成した過去の設計資産を流用したい場合などに、過去の設計データの一部分だけにパラメータを付けて(それ以外は変更せずに)編集することが可能になる。
Inventor 2016では、パラメトリックモデリングについても見直され、スケッチの機能が強化されている。「2次元CADの設計者が3次元CADを始めるに当たり、まず気に掛かるのがスケッチ機能だ。ここが使いやすいか、あるいは『AutoCAD』ライクかといった部分で3次元CADの使われ方、活用のされ方が大きく変わってくる。そのため、当社としてもスケッチの機能に関しては引き続き力を入れて開発していく方針だ」(同社)。
さらに、日本のユーザーからの声を反映し、シートメタルの機能強化もなされている。その1つがマルチボディのサポートだ。「設計段階において、『このパーツは別パーツにしよう』だとか、『このステイは後から溶接しよう』といった製造を考慮した設計が求められるため、Inventor 2016からシートメタルにもマルチボディを対応させた」(同社)。また、ゼロ曲げRにも対応。「Inventor 2015ではゼロ曲げRを展開する機能までは実現していたが、日本のユーザーからの要望に応え、今回シートメタルの機能の中でゼロ曲げRを簡単に作れるようにした」(同社)。
アセンブリ周りについても使い勝手が向上している。アセンブリ空間上でのパーツの置き換えや干渉部分のハイライト表示などが図られている。また、「特に思い切った機能としては、R部分を多角形で表現して表示パフォーマンスを向上させる機能が備わった。パフォーマンス優先で設計をサクサク進めたい場合などに有効だろう」(同社)。
Inventor 2016ではグラフィックス/ビジュアライゼーションの強化も図られている。まず、新しいイメージベースライティング(IBL)環境が追加されたことで、使用できるライティング環境が増え、より豊かな表現が可能になった。さらにレイトレーシングの機能を強化し、表示精度を「低」「ドラフト」「高」の3段階から選択できるようになった。
その他、日本のユーザーからの声を反映して、バルーン表示のロジックを見直したり、透明部品の表現に対応したりするなど、図面周りの機能強化がなされた他、生産性向上の観点から動作中のプロセスを[Esc]キーで中断できる機能なども追加されている。
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