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「Inventor」の中には工作機械が全部入っている! 電動バイク「zecOO」開発秘話DMS2015(1/4 ページ)

「第26回 設計・製造ソリューション展(DMS2015)」で、オートデスクは「Autodesk Inventor」のユーザートークショーを実施。電動バイク「zecOO(ゼクー)」のデザインを担当したznug designの根津孝太氏と、車体製造を担当したオートスタッフ末広の中村正樹氏がzecOOの開発秘話を紹介した。

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 オートデスクは「第26回 設計・製造ソリューション展(DMS2015)」(会期:2015年6月24〜26日、場所:東京ビッグサイト)に出展。メインステージにおいて、日ごろの業務で生じている課題やその解決方法など、製造現場の生の声を聞くことができる「Autodesk Inventor(以下、Inventor)」ユーザートークショーを実施した。

 トークショーに登壇したのは、DMS2015のオートデスクブースに展示されていた電動バイク「zecOO(ゼクー)」のデザインを担当したznug designの根津孝太氏と、zecOOの車体製造を担当したオートスタッフ末広の中村正樹氏。トークテーマは「zecOOを生み出したInventorとAliasのコラボレーション」だ。


ユーザートークショー
「Autodesk Inventor」ユーザートークショーに登壇したznug designの根津孝太氏(右)と、オートスタッフ末広の中村正樹氏(左)

人にデザインや利用シーンを伝える

司会 ――本日は、話題の電動バイクzecOOをプロデュース/デザインしたznug designの根津孝太さんと、zecOOの設計・製造を行ったオートスタッフ末広の中村正樹さんをお招きし、zecOOの開発スト―リーや裏話をお聞きしたいと思います。まずは自己紹介をお願いします。

根津さん 僕は、某自動車会社出身で、現在、工業デザインの会社znug designを運営している工業デザイナーです。基本は工業デザインなんですが、いろいろなお仕事をさせていただいています。その中でも特に“乗りモノ系”に軸足を置いて活動しています。中村さんと組んでzecOOを作ったり、元いた自動車会社と組んで取り組みを進めたり、時にはお弁当箱をデザインしたりなど、全てオートデスクのサーフェスモデラー「Autodesk Alias(以下、Alias)」を使ってデザインをやっています。

中村さん オートスタッフ末広というバイクショップを経営している中村です。基本的には地域密着型のオートバイ販売店なのですが、その他に2輪バイクや3輪バイクの開発・製作や部品製造なども行っています。

zecOO
オートデスクのブースで展示されていた電動バイク「zecOO」

司会 ――デザイナーさんの中には、スケッチや2次元図面を使う方が多くいらっしゃいます。まだ3次元ツールが浸透し切っていない面もあります。そういった中で根津さんはいつ「3次元(のツール)」と出会ったのでしょうか?

根津さん 某自動車会社に在籍していたころ、クルマの良さを人にアピールするには形状だけでは伝わらないし、もうそんな時代ではないなと感じていました。そこで、使用シーンなどを3D CGのムービーにすればクルマの良さが伝わると考えました。大きな会社だったのでお客さまへの提案だけでなく、社内の承認を得るためにも3D CGの必要性を強く感じていましたね。そんな思いからAliasの世界にどっぷりと入っていくことになりました。

司会 ――自分のアイデアを人に伝えるコミュニケーション手段として、活用し始めたのですね。

根津さん そうですね。その結果、オートスタッフ末広の中村さんをだます(説得する)ことに成功し、一緒に仕事する機会を得ることができました(笑)。

2人の出会い

司会 ――根津さんと中村さんは、ある意味で違う業界同士で、住んでいる地域も違います。いつ、どのようにして出会ったのでしょうか?

根津孝太さん
znug designの根津孝太氏

根津さん 僕は、中村さんと出会う前から、ずっと電動バイクを作りたいという思いが強くありました。CGレベルではもちろん作れてしまうんですが、そのイメージをどうやって本物にするのかといったときに、ある共通の友人から「中村さんが作れなかったら世界中どこを探しても根津さんの電動バイクを作れる人なんていないよ!」と紹介していただいたのがきっかけでした。本当にその通りだなと感じています。

 あと、よく中村さんと話すのですが、このチームでなければ絶対に(zecOOは)こうならなかったと思うんですよ。お互い相手が怒り出さないギリギリを攻めて作り上げていきましたね(笑)。

 中村さんはカスタムバイク屋さんとしての実績がものすごくあって、例えばzecOOはハブステアリングを採用しているんですが、中村さんのところでは既にバイクのサイドカーで実現していたし、zecOOでも採用しているアルミフレームの削り出しをベースにどんどんパーツを組んでいく手法も既に実績があったんです。そうした技術を最大化してデザインしたらどうなるのかと考えた結果がzecOOのこのカタチなんです。

zecOO(1)zecOO(2) 電動バイク「zecOO」(1) ※画像クリックで拡大表示

zecOO(3)zecOO(4) 電動バイク「zecOO」(2) ※画像クリックで拡大表示

中村さん 根津くんのデザインはすごく洗練されているし、これならカタチになるなと感じましたね。製作過程では、お互いにコミュニケーションをとって「これは法規的にいけるよね」などと、実現に向けた話ができる相手だったので非常にやりやすかったですよ。

司会 ――2人が出会ってすぐにzecOOの開発を始めたんでしょうか?

根津さん 最初、中村さんのところで「電動バイクを作りたい」と伝えたら、「うーん、電動バイクか……。それもいいんだけどさ、実は俺もやりたいモノがあるんだよね」といわれたんです。で、実現したのが3輪バイク「ウロボロス」。同名タイトルのTVドラマの放映以降、Web検索の表示順位がどんどん下がってしまいましたがぜひ検索してみてください(笑)。

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