産業へと成長するドローン、「ジャパン・ドローン2016」に見る現状と可能性(1/4 ページ)
本格的なドローンの展示会「ジャパン・ドローン」が開催された。ホビー的なガジェットではなく、新産業として離陸しようとしているドローンの現状と可能性を会場からお伝えする。
「ジャパン・ドローン2016」が2016年3月24日から26日の3日間に渡って、幕張メッセで行われた。日本初の本格的な民間ドローン専門の展示会およびカンファレンスだ。ドローンというと、GoProのような「ホビーユーザー向けのガジェット」として取り上げられることが多く、そこが起爆剤であったのは確かだが、ドローンは私たちの生活を支える技術として着実に活用され始めている。展示会では実用フェーズの状況、最新技術、関連サービスなど、産業への展開が進むドローンの“いま”を見ることができた。
ホビー用途だけではない、業務でのドローン活用
ドローンというと、上空からの撮影やステージ演出などエンタテインメント分野で活用されているイメージだが、農薬散布や橋梁・トンネル、工場、建屋の点検・調査など、農業や土木建設、測量といった領域での活用も広がっている。
自動制御システム研究所のブースでは、産業用ドローン「ミニサーベイヤー」の導入から運用まで紹介されていたが、農業では農薬や肥料の散布にドローンを使ったり、大規模農業を空撮による映像で管理する「精密農業」と呼ばれる分野で活用されているという。
ドローンを使えば、散布装置を装着することで、農薬や肥料を均一に、あるいは必要な場所だけに限定して散布することができる。また、赤外線カメラを搭載し撮影することで作物の生育監視も可能だ。植物による光の反射特性から生育の状況を把握する「植生指数」を用い、空撮した写真を組み合わせて、値に応じてその範囲を色分けして表示してくれる。
ただ、農薬散布に関しては、先日農林水産省より農薬を散布する小型無人飛行機(ドローン)操作の認定制度を始めるという発表もあり、今後整備される制度による変化がありそうだ。
また空間を立体的に移動するドローンは3DやVRといった技術と親和性が高いことから、「空撮した画像から3D図面を起こす」「3Dの空間認識をドローンの制御に用いる」といった融合があちこちのブースで見られた。
テラドローン(EVベンチャーのテラモーターズがリカノスから事業譲渡を受け、2016年3月に設立した新会社)は、ドローンを用いた測量を行い、高精度な3D図面を提供するサービスを全国規模で展開する。建設業における工事の施行管理、進捗管理に利用できるサービスだ。従来の地上レーザー計測や光波測量と比較して、精度を確保しつつ大幅にコストを短縮することができるにつながるという。
FORUM8はメインのビジネスは3D/VRサービスだが、自社の持つ3D技術をベースに他社製のドローンをカスタマイズし、遠隔農地管理サービスをリリースしている。
こうした業務活用の流れには、自社がもともと得意とした分野とドローン技術と組み合わせて新しい事業をアプリケーション化して提供するという形であったり、ドローン技術を持っている企業がクライアントの事業に合わせてカスタマイズ(アプリケーション化)するという形での参入であったり、双方が入り交じっている印象だ。
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