Pepperが営業力を強くする、担当者とロボットが連動してお出迎え
営業支援システムなどを手掛けるソフトブレーンが、Pepperを利用した受付システム「eレセプションマネージャー」を発売する。名刺交換の相手を絶対に忘れないロボットが、無人化の進む受付を営業のチャンスに変える。
ソフトブレーンは2016年3月23日、法人向けのPepper用受付システム「eレセプションマネージャー」を同年4月1日より販売開始すると発表した。料金はPepper1台当たり月額8万円(税別)。
このシステムではスケジュールに来客を登録すると、来客へ自動的にQRコードが発行されメールで送信される。来訪者は受付時にPepperのカメラへ送られてきたQRコードをかざすと、Pepperが社内にいる担当者に電話で連絡する。
単純な受付での取り次ぎ業務だけではなく、クラウド上にある顧客情報ならび来客予定表と連携しているため、Pepperが来訪者企業の履歴を確認して企業間のつきあいの深さをアピールしたりといった“場を暖める”会話が行われる。「無人受付の場合は内線電話が設置されているだけだが、これでは機会損失になるかもしれない。それを営業のチャンスに変える」(ソフトブレーン 代表取締役社長 豊田浩文氏)
販売についてはソフトバンクコーマス&サービスが行い、月額料金には名刺および顧客情報を登録できるCRMライセンスが10ライセンス付属する(来客スケジュールの登録、閲覧については制限なし)。CRMライセンスの追加は10ライセンス/月額7000円にて提供する。基本的にはPepperのレンタル(月額5万5000円)と組み合わせての利用を想定するが、既に法人がPepperを所有している場合はそちらを使っての利用も可能だ。なお、Pepperについては一般販売モデルではなく、法人向けモデルを対象とする。
Pepperを通じて提供するクラウドサービスは同社CRM/SFAサービス「eセールスマネージャー Remix Cloud」をベースに、受付業務機能を抽出したイメージに近い。eレセプションマネージャーの導入後、eセールスマネージャー Remix Cloudを購入すれば、入力した情報はそのまま引き継がれ、より広範囲の機能が利用可能となる。
これまでにもPepperを受付に利用する例は複数見られたが、本事例のように既に稼働しているシステムの一部として組み込む例は珍しい。ソフトバンクロボティクスの吉田健一氏は「これまでPepperとは何か?ロボットとは何か?を広く伝えるために自社が中心となって事業を推進してきたが、今回はパートナーを含めた“目的遂行の手段”としてのロボットになれた」とサービスロボットを利用したビジネスが次フェーズに進んだと語る。
ソフトブレーンでは今後、システムならびPepperアプリの改良を進めることで多言語対応や「来客に受付カードへ記入してもらって、それをPepperのカメラへかざして情報入力」といった利便性の向上を図る他、個別の商談履歴と全社の商談履歴を掛け合わせることでの商談成功パターンの分析など、AI技術を活用してのサービス提供も視野に入れるとしている。
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