製造業で人工知能はどう使うべきなのか:相棒は「ワトソン」(2/2 ページ)
日本IBMとソフトバンクは、自然対話型人工知能「ワトソン(Watson)」の日本語版の提供を開始する。自然言語分類や対話、検索およびランク付け、文書変換など6つのアプリケーションをサービスとして展開する。
人工知能「ワトソン」を使えば製造業はどう変わる?
日本IBMおよびソフトバンクでは、重点分野として「金融」「医療」「メディア」「製造」「営業支援」の5つの領域を挙げている。
これらの領域のトップランナー企業に対し、以下の3ステップでの導入を進めていくとしている。
- 戦略・企画立案、データ検証
- 特定の適用領域でのワトソン訓練・アプリ開発
- 本番稼働、適用業務領域の拡大
既に海外では、医療や金融メディアなどでは多くの事例が存在し、営業支援などでもチャットでの質問対応や情報支援システムなど、実践事例などが多く出てきている。一方で重点領域として挙げている中で製造業に対しては、実践的な事例は「経営全般」や「営業全般」など多くの企業に共通する領域では出ているものの、現状ではまだ少ないといえる。
「軽い」人工知能を求める製造業
製造業においても、インダストリー4.0などへの関心から現場でのIoTおよび人工知能の活用については大きな注目を集めている。しかし、現状のところはどちらかといえば「軽くコンパクトな人工知能」への関心の方が高いといえるだろう。製造現場を考えた場合、現場の機器やネットワークに高いスペックは期待しづらい。また、さまざまなデータをクラウドにあげるという点についても採算性などを考えると難しい。こうした状況から、より低スペックな状況でも作業者の作業や判断を支援できるような人工知能技術や、プログラミングの手間削減や柔軟性向上を高める機械学習機能などに関心が高まっているのだ。
ただ、今後環境などの整備が進んでくると、より高度な人工知能の活用の可能性もある。日本IBMが製造業の領域でワトソンの導入を見込んでいるのが「品質向上」と「フィールドサポート」の領域だ。
品質向上については、ワトソンの自然な対話などにより、顧客の声を吸い上げ、これらの情報を製品開発情報などとひも付けて、次の製品開発などに反映させるなど、新たな仕組み作りを実現できる。またフィールドサポートについては、顧客に対しての応答支援などの他、フィールドサービスマンが、機器のメンテナンスや修理などを、ワトソンを通じてより効率的なサポートすることなどが可能となる。
日本IBM 執行役員でワトソン事業部長の吉崎敏文氏は「さまざまなビジネス革新が考えられる。ユースケースが重要になる。既に日本IBM内でもクラウド事業部では営業の問い合わせをチャット形式で自動応答するサービスを開始している。業界のフロントランナーと最先端のコグニティブビジネスを創出していきたい」と述べている。
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