「Lite」で普及の兆しを見せる「ECHONET」、波乱万丈の20年史と今後の課題:IoT観測所(18)(4/4 ページ)
国内HEMSの標準プロトコルとなり電力自由化の後押しもあって、普及の兆しが見える「ECHONET Lite」だが、前身のECHONETを含めると苦難の連続といえる。その歴史を振り返り、現状の課題を確認する。
国内では立ち上がりの機運が高まるECHONET Lite、海外の反応は?
さてそのECHONET Lite、2011年6月には早くも会員内閲覧の形でVersion 1.00がリリースされ、同年12月には一般公開されている。現在公開されているVersion 1.12(なぜか改訂履歴にはVersion 1.2とされているがこれはタイプミスだろうか)は2015年9月に一般公開された。
国際標準化に関しても同時に取り組んでおり、2013年9月に「IEC62394 Ed2.0」として、2015年9月には「ISO/IEC 14543-4-3」としてそれぞれ標準化が完了している。前回も触れたが、経済産業省によって2011年12月に国内のHEMS標準プロトコルとして、翌2012年2月には国内のスマートメータとHEMSを接続する標準プロトコルとしてそれぞれ認定される事になり、これをもってやっとECHONET Liteが立ち上がる機運を見せ始めた。「21世紀のホームネットワークのあり方に関する調査研究委員会」から数えると、20年近くの時間が必要とされたわけだ。
こちらに2015年10月のCEATECの際のパネルディスカッションの様子がレポートされているが、少なくともECHONET Liteに携わっている企業の意気は高い様子が伺える(関連記事:世界を追い抜いた日本のスマートホーム、ECHONET Liteが核に)
ただここからはWi-SUNを取り上げた際の繰り返しになるのだが、国内はともかくとして国外での知名度は無いに等しい(日本発の無線規格「Wi-SUN」、国際展開への飛躍を阻む4つの問題)。その理由は幾つか挙げられるが、とにかく海外展開が遅れている。HEMS関係機器を手掛ける海外ベンダーにECHONET Liteの対応を聞いても「(そんな規格は)知らない」か「顧客が望めばやる(けど望まれてないのでやらない)」のどちらかしか聞いたことがない。
正直なところ、もし国外展開をするのであれば、海外で白物家電を手掛けているベンダーの加盟は必須であり、そうしたメーカーが参画しない限り国内でのみ使われる規格にとどまりそうな雰囲気だ。経済産業省の肩入れがある限り無くなりはしないだろうが、それ以上にもならない、という雰囲気がひしひしと感じられるのがECHONET Liteである。
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