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出遅れた老舗「oneM2M」、Alljoyn連携で巻き返しなるかIoT観測所(15)(1/3 ページ)

通信関係の標準化団体が組織した「oneM2M」は、M2Mプラットフォームの水平化を狙うが、IoTを取り巻くスピードは速く、実装までを考えると遅きに失する感が否めない。Alljoynとの連携での巻き返しを狙う。

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 今月紹介するのは「oneM2M」である。実はこの組織、これまで紹介してきたさまざまな組織と比べても(IPSOの2008年9月には負けるが)かなり古い方に属する2012年7月である。oneM2Mの特徴は、新しく組織を作ったのではなく、既存の通信関連の標準化団体が集まって、グローバルな標準化団体が形成されたことだ。

 当初のメンバー(oneM2MではこれをPartner Type1と称する)は日本の「ARIB(Association of Radio Industries and Businesses)と「TTC(Telecommunication Technology Committee)」、アメリカの「ATIS(Alliance for Telecommunications Industry Solutions)」と「TIA(Telecommunication Industry Association)」、中国「CCSA(China Communications Standards Association)」、欧州「ETSI(European Telecommunication Standards Institute)」それに韓国「TTA(Telecommunications Technology Association of Korea)」の7組織で、現在はこれにインドの「TSDSI(Telecommunications Standards Development Society, India)」が加わった8組織である。

 実際にはこの8組織に加盟するメンバー企業が、標準化作業の策定などを行っている形だ。またこれとは別に、さまざまな業界団体もPartner Type2として参加可能となっており、「BBF(the BroadBand Forum)」や「Contiuna(Continua Health Alliance)」「GlobalPlatform」「HGI(Home Gateway Initiative)」「New Generation M2M Consortium bOMA(Open Mobile Alliance)」などの団体が既にoneM2Mへ加盟している。

oneM2Mの目的は「M2Mの水平化」

 oneM2Mの大きな目的は、垂直統合型のM2Mプラットフォームを共通の水平型に転換したい、というものである。設立時(2012年当時)はまだIoTのムーブメントが起きる前ではあったが、既にこの時点でさまざまなMachine to Machineのサービスをさまざまなメーカーが模索したり、実際にサービス構築を始めていた。

 ただこの時点ではまだ各社が独自インフラやトランスポートを用いて独自のサービスを個別に提供する、という形であり、相互接続性はおろか、互換性のかけらも無いものだった。共通仕様がなければ互換性を保てるワケはなく、これを危惧したETSI加盟メンバーが、何かしらの共通仕様を定めようと活動を始めたのがoneM2Mのそもそもの始まりであり、その後は米国や日韓などの標準化団体もこれに追従する形でoneM2Mが形成された。

 こうした経緯もあってか、実際にoneM2Mで活動を行っている企業の数は現在230にも及ぶ中、ETSIに加盟している企業が一番多い。ちなみに現在のoneM2Mの組織はこんな具合だ(Photo01)。一番最上位のSteering CommitteeはPartner Type1から1名の代表者と、REQ〜TSTの6つのWorking Groupの議長が参加して構成されることになっているはずのだが、なぜか現在はARIBから代表者が出ていない(Leadership Team:oneM2M)

一番右下のTST(Testingを行うWorkgroup)が一番最近結成されvvた
Photo01:一番右下のTST(Testingを行うWorkgroup)が一番最近結成された

 さて、oneM2Mの目的は先にも書いた通り、共通の水平型プラットフォームを提供することだ。oneM2MのWhitePaper「The Interoperability Enabler for The entire M2M and IoT Ecosystem」によれば“It was estabrished through an alliance of standard organization oto develop a single horizontal platform for the exchange and shareing of data among all applications.”がoneM2Mの目指すものである。

 逆にoneM2Mで標準化の対象とならないものは、「アプリケーションやデバイスを含んだネットワーク環境全体」である。こうしたものは個別アプリケーションを開発するエコシステムがそれぞれ行うべきものであり、そうした部分には立ち入らないとしている。

 では具体的にどんなものをoneM2Mで提供するか、というとグローバルなネットワークアーキテクチャとそのプロトコル、サービスである。oneM2Mでは、まずM2Mのサービスを大きく「Application Layer」「Common Service Layer」「Network Service Layer」の3つに分類し、それぞれに属するものを「AE(Application Entity)」「CSE(Common Service Entity)」「NSE(Network Service Entity)」と規定する。

 この3つの関係をまとめたのがPhoto02である。AEはアプリケーション自身の動作に関連する機能をまとめたもの、NSEがネットワーク関連の機能で、CSEがその間に入る形になる。CSEはさまざまなM2Mアプリケーションで共通する機能をまとめて提供するもので、要するにアプリケーションから見るとCSEが介在することで、特定のネットワークに非依存な形で構築できるようになる、というか逆に特定のネットワークに非依存な形でアプリケーションを構築できるようにするのがoneM2Mの目的といっても良いだろう。

oneM2Mの定義する「AE」「CSE」「NSE」の関係
Photo02:oneM2Mの定義する「AE」「CSE」「NSE」の関係(oneM2M Technical Specification TS-0001-V1.6.1のFig 5.2.2-1より抜粋)

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