連載
TPM活動の進め方、ロス撲滅のための8つの活動:いまさら聞けないTPM(2)(4/4 ページ)
本連載「いまさら聞けないTPM」では、TPM(Total Productive Maintenance)とは何か、そして実際に成果を得るためにどういうことに取り組めばいいかという点を解説している。第2回となる今回は、「TPMの進め方」について紹介する。
TPM活動の8本柱
TPMは、16大ロスを切り口にあらゆるロスのゼロ達成のために、図7に示す8つの活動を全員参加で取り組みます。これを「TPM展開の8本柱」と呼び、ロスを「減らす」活動とロスを「防ぐ」活動で構成されています。
- 生産システム効率化の個別改善:生産ライン(プロセス)や設備ごとにロスを調査し定量化して、ロスを減らし「真のもうけ」を得る活動です
- オペレーターの自主保全体制づくり:ロスを防ぐ代表的な活動であり、自分の設備は自分が守る自主自律体質を築くことも狙いとしている
- 保全部門の計画保全体制づくり:設備の劣化診断と復元、さらに改良保全による寿命延長を行い、故障ゼロと最適保全費を図る保全部門による活動です
- 製品・設備開発管理体制づくり:製品や設備の開発・設計段階にて、生産時発生が予想されるロスを防ぎ、垂直立上げを図る活動です
- 品質保全体制づくり:不良の出ない条件設定とその維持管理、さらに不良の発生の可能性を予知し事前に対策するという不良ロスを防ぐ活動です
- 教育・訓練の体制づくり:仕事を進める上で必要な知識や技能を整理し、ロスを減らす・防ぐためのスキルアップを図る活動です
- 管理・間接部門の効率化体制づくり:生産現場のロスを減らす・防ぐを支援すると共に、自部門においても同様の活動を行います
- 安全・衛生と環境の管理体制づくり:災害ゼロ・公害ゼロ・ゴミゼロ、さらに省資源、省エネ(CO2削減)、快適職場の実現をねらう活動です
TPM8本柱の活動は、それぞれ独立した活動ではなく、各活動は連携プレーで成り立っている点もTPMの特色となります。
また、製造現場から活動をスタートして、生産システム全体へ、さらにビジネス全体への広範囲化と併せて各柱の高次元化を行い、強い企業作りを目指します。これらのステージをパートI、II、IIIと呼んでいます(参考サイト:すぐ分かるTPM入門)。
次回以降は今回触れた各活動(柱)の解説をしていきます。
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筆者プロフィル
和泉高雄(いずみ たかお)
日本能率協会コンサルティング 取締役 TPMコンサルティングカンパニー長
1984年、日本能率協会入職、日本プラントメンテナンス協会、JIPMソリューションを経て現職。早稲田大学 理工学術院 非常勤講師。日本プラントメンテナンス協会 TPM優秀賞審査員。工学院大学(生産機械工学科)、慶應義塾大学(経済学部)卒業。
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