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松村礼央氏に聞く「物語を再生する"装置"」としてのロボット、多脚ロボット研究開発プラットフォームの構想ロボットキーマンを訪ねて(4/5 ページ)

コミュニケーションロボットの社会実装を考えたとき、一体、何が必要となるのだろうか。人と、人ではない機械とのコミュニケーションの形を探る。

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 松村氏は高専でロボコンにチャレンジするクラブに参加。その後、ロボットベンチャーであるヴイストン、国際電気通信基礎技術研究所においてホビーロボットや研究開発用途のコミュニケーションロボットの設計開発、そして研究に従事した。

この間、ロボットクリエイター高橋智隆氏の名作「CHROINO(クロイノ)」をコピーしたのを契機に、師と弟子に近い関係で高橋氏の仕事を手伝っている。「鉄人28号」や「攻殻機動隊 タチコマ」のホビーロボットを製作(いずれも高橋氏の監修の下、松村氏が設計・開発)した経験は、松村氏の【物語を再生する"装置"としてのロボット】という考え方に強く影響を与えている。

 このような経験を持つ松村氏に「ロボット開発に一番必要なものは何か?」と聞くと、「0→1でものを作れることだ」という。

松村氏 段階によりけりですが、現時点では0→1がいると思います。ユーザーにとって既に需要のあるロボットの1→10、10→100にする人材はもちろん併行して必要ですが、そうではないコミュニケーションロボットの社会実装という観点では、0→1の人材の必要性は揺るがないでしょう。例えばPepperが与えられて、Pepperで何かビジネスを考えましょうというと、Pepperでできることしか考えられない。その時点でPepper以外の選択肢を自分で見つけられないとすると、プレイヤーとしては致命的かと思います。

 与えられたプラットフォーム以外のところに答えがある可能性が多分にあるのに、それが探索できない。そうなると詰んでしまう。結果的にプラットフォームによらずとも、必要なものを自分で作れるか、あるいはインテグレーションできるか個人、組織においても重要かなと思います。

 分野については、ハードウェアであってもソフトウェアであっても、この傾向は変わらないと思います。むしろ狭く深くというよりは、特定の領域に軸がありつつも広く浅く、他の領域をインテグレーションする能力を持っているというT型の人材が一番頑健で、探索的な現状には向いていると思います。

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