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松村礼央氏に聞く「物語を再生する"装置"」としてのロボット、多脚ロボット研究開発プラットフォームの構想ロボットキーマンを訪ねて(5/5 ページ)

コミュニケーションロボットの社会実装を考えたとき、一体、何が必要となるのだろうか。人と、人ではない機械とのコミュニケーションの形を探る。

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ロボット開発の世代をつなぐ

 いま取り組んでいる多脚プロジェクトには、10年前に隆盛した前回のロボットブームからホビーロボットやコミュニケーションロボット開発の先人である吉村浩一氏(bloomakeLab 代表)と山本隆司氏が技術指導としてコミットしている。

 この2人は松村氏が10、20代の頃に読んでいた雑誌『ロボコンマガジン』に数多くの記事を寄稿していたことから、高橋氏と並んで氏が師事している技術者。また、この他にも20代前半の次の世代ともいえる人材もコミットしており、先人の世代と自身の世代、そして次の世代を、プロジェクトを通してつなぎたいという思いもあるという。

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松村氏が取り組んでいる多脚プロジェクトの脚の部分

松村氏 過去のブームにおいて何が無理で、現在は何が解けて、何が今後の問題なのかをこのプロジェクトで扱いたいと考えています。私のアプローチが、万が一駄目だったとしても、それを総括し、先人やさまざまな企業が支える体制が作れていれば、次の世代が別のより良いアプローチを達成できるのではないかと。

 いまはまだ明かせませんが、多脚ロボットももちろん物語を再生する"装置"として開発しています。この物語が各世代の技術者間、企業間でのビジョンの共有の鍵になっているのは言うまでもありません。社会実装の体制を、世代を超えて共有されている物語を用いて整える、というのはプロジェクトにおける私の挑戦の一つでもあります。

 最後に、コミュニケーションロボットの社会実装について、先行きを聞いてみた。

松村 やはり、いきなり家庭内への社会実装というのは早過ぎる気がします。実装のコストもさることながら、プライバシーの問題、クラウドのクラック対策などクリアすべき課題が山積みですから。ただ、特定の物語を再生するための施設を実装するのであれば、私の世代で可能ではないかと考えています。

 多脚プロジェクトでは、2016年4月末にプロトタイプ完成の予定。その後、今年の下半期には、実際に商業施設に導入し、実証実験をする計画だという。

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