「ロボットを板金で」神奈川の板金屋さんが多足ロボットを作るワケ:2015国際ロボット展
板金加工業を主業務とする海内工業が、多脚ロボット研究開発プラットフォーム「ダニエル61(仮)」を参考展示している。
海内工業は「2015 国際ロボット展」(2015年12月2〜5日、東京ビッグサイト)にて、同社とkarakuri productsが共同開発中の多脚ロボット研究開発プラットフォーム「ダニエル61(仮)」を参考展示している。板金加工を主業務とする海内工業が多脚ロボット開発に着手するその理由とは。
両社が共同開発している多脚ロボットは先端にタイヤを持った4脚ロボットで、完成時には1600×1600×1300(ミリ)の大型ロボットになる予定だ。国際ロボット展に出展されているパーツは脚部のみで制御系部品は実装されていないが、最終的には多脚による歩行とタイヤによる移動のハイブリッド型となる。
karakuri productsの代表、松村礼央氏はヴイストンでのインターンを経て大阪大学 石黒研究室に所属し、国際電気通信基礎技術研究所でロボットを研究するなどロボット畑の経歴を持ち、karakuri productsも研究用ロボット受諾開発を事業内容の1つとする企業だが、なぜ海内工業がロボット開発を行うのか。そこには「板金加工へのプライド」があった。
「多脚ロボット開発プロジェクトは、“成長産業であるロボット産業へ、板金加工の技術でどうやって参入していこうか”を考えての立案です。サービスロボットは少数他品種の生産になると思いますが、全ての企業が自社で全部品を製造できるとは限りません。金属加工にも切削や積層、板金など他種ありますが、比較的コストメリットを提示しやすい板金でも“ここまでできる”という技術展示という意味合いもあります」(海内工業 技術開発部 湊研太郎氏)
その言葉を裏付けるよう、展示されている脚部は同社の高い板金技術の一端を垣間見ることのできる部品となっている。一般的な設計ならば積層加工で製作するベルトプーリーが板金加工で製作されていたり、アルミに比べて対比重の強度で優れているベータチタンを一部用いることで脚分重量を軽減するといった取り組みがなされている。
プロジェクトは海内工業とkarakuri productsが中心となるが、ストラタシス・ジャパン、オートデスク、日本遠隔制御、タスカケル、カヤックの各企業が技術協賛として名を連ね、技術指導として著名なロボット開発者である吉村浩一氏、山本隆司氏も名を連ねる。多脚ロボットの研究開発プラットフォームとされているが、連なる名前を見るとちょっと面白そうな展開もありそうだ。
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