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ヒト型ロボットは道具を超え「自分の鏡」に、ヴイストン大和社長に聞くインタビュー(1/4 ページ)

ロボットは道具の延長線上ではなく、心を持った「人間の相手」となる必要がある。ロボカップ連覇などの実績を持つヴイストンの大和社長は「ココロ」こそが、家庭用ロボットのカギだと語る。普及については「ここ3年が勝負」だ。

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 ヴイストンといえば「Robovie(ロボビー)」や「VisiON(ビジオン)」といった、運動能力の高い二足歩行型ヒューマノイドロボットの印象が強い企業だが、2015年に入りその印象が変化している。

 移動機構を持たない対話ロボット「CommU(コミュー)」「Sota(ソータ)」を科学技術振興機構ならび大阪大学の石黒浩教授と開発、Sotaをコミュニケーションハブとした実証実験や園児の見守りに利用するサービスにも協力するなど、コミュニケーションロボットへの注力を高めている。

 ロボカップを連覇するなどの実績を持ち“動くロボット”の代表格でもあったヴイストンが、なぜ“話すロボット”への関心を高めているのか。同社代表取締役社長の大和信夫氏に話を聞いた。

Sota(ソータ)を手にするヴイストン 大和信夫社長
Sota(ソータ)を手にするヴイストン 大和信夫社長

――2014年の半ば頃からは「第三次ロボットブーム」など、ロボットに関する話題を耳にすることが増えたと感じますが、ロボット開発の現場にいらっしゃる身としての感想は。

大和氏: やはりPepperの存在は大きいと感じます。ただ市場に出しただけではなく、実機に触れることのできる場所も多く用意し、事業として力を入れて取り組んでいます。Pepperのようなサービスロボットが本当に普及するかについての意見は分かれますが、ある程度の存在感を示しているのは確かだと思います。実際、弊社(ヴイストン)への問い合わせも増えています。

 ASIMOなどが話題となった2000年頃はサービスロボットへの期待こそ高かったものの、最後は「ロボットが実際の産業として利用できるのはFA(Factory Automation)ぐらいではないのか」「FA以外では、ルンバのようにロボット技術を用いて機能特化したものが残るのではないか」という結論に落ち着いてしまいました。

 サービスロボットとして採用されることの多いヒト型はその形状から可動部品が多くなり、可動部品の多さはコスト増を招きます。商品企画の基本的な考え方である「コストを抑えて商品化する」という手法に逆行している、そう指摘する声も多くありました。ですが、最近ではその様な意見は減ってきたように思います。「日常で使うことを考えると、ヒト型の存在価値は高い」そのような声を聞く機会が増えています。

 個人的な意見として、ロボットとしては“生き物的な動くモノ”が好みですし、自分で取り組むならばそのようなロボットを作りたいのです。「道具を作る」ならば話は別ですが、私はペットと人間の間に位置するような、親しみの持てるロボットを作りたいと考えています。

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