「開発スピード」は何をもたらすか? 「ニッチ、100カ国に100台」というCerevoの選択:メカ設計イベントリポート(4/4 ページ)
2015年12月に開催されたMONOistセミナー「大手とベンチャーが語る『開発スピードが生み出すモノづくり力』」で、Cerevoが基調講演に登壇し、同社の開発スピードに対する考えやスピードアップのための手法について語った。
開発スピードは何をもたらすのか
今回のセミナーで大手を代表する形となったのは、デンソー 情報通信基盤開発部 サービス開発室 担当係長の伊藤正也氏による「デンソーにおける製品開発スピードアップへの挑戦」。スマホ(スマートフォン)を手に持てない状況でも、簡単に操作できるコントローラー「KKP(くるくるピ)」の開発について講演を行った。通常車載製品を開発している同社が、試作と市場からのフィードバックというサイクルを短期間で回す、新たな開発スタイルに挑戦したことを中心に、開発スピードがどのようにモノづくりを変えるのかを見せてくれた。
プロトラブズ社長のトーマス・パン氏と、電子お灸「ながら灸」を開発した吉村メディカル福祉の代表 吉村一成氏の対談「品質が求められる医療機器の製造事例」では、医療機器認証など規制の厳しい医療分野に挑戦した事例を紹介。
一般に開発期間が長く、開発費用が膨大になる医療機器の開発を、短期間でコストを抑えるために実践した吉村氏の戦略や、ベンチャーの製品開発に重要なポイントなどが紹介された。
全ての登壇者が勢ぞろいしたパネルディスカッションでは、「なぜ開発スピードが重要なのか?」「設計ツールやサービス、どう活用している?」「開発スピードを速くするとモノづくりはどう変わる?」など、興味深いテーマについて、各人の経験や体験に基づいた意見が交わされた。
筆者紹介
杉本恭子(すぎもと きょうこ)
東京都大田区出身。
短大で幼児教育を学んだ後、人形劇団付属の養成所に入所。「表現する」「伝える」「構成する」ことを学ぶ。その後、コンピュータソフトウェアのプログラマ、テクニカルサポートを経て、外資系企業のマーケティング部に在籍。退職後、フリーランスとして、中小企業のマーケティング支援や業務プロセス改善支援に従事。現在、マーケティングや支援活動の経験を生かして、インタビュー、ライティング、企画などを中心に活動。
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