「PSYCHO-PASSサイコパス」の特殊拳銃「ドミネーター」再現とIoT:ママさん設計者が見た「コネクテッド・ハードウェア」(1/4 ページ)
人気アニメーション作品の特殊拳銃をリアル再現した家電ベンチャー CerevoにMONOistの連載筆者 藤崎淳子氏が突撃! 作品の大ファンでもあり、設計者でもある藤崎氏から見た家電ベンチャーの開発現場とは? 今日のデジタル家電とIoTについても考えてみた。
モノヅクリストの皆さん、こんにちは!
先日は前々から気になって仕方がなかった「あるアニメに登場するガジェットを精巧に再現した“コネクテッド・トイ”」開発の舞台裏を探るべく、信州上伊那から都内へ出かけて貴重なお話を伺ってまいりました。こちらは我が家で厳重に保管されている“対象作品”の映像メディアや関連書籍のごく一部。予習のためにちょっとひも解きましょう……。
そう、“あるアニメ”とは……、「PHYCO-PASS サイコパス」(以下、サイコパス)です! 今回はこの作品に登場する特殊拳銃「ドミネーター」を1/1サイズで再現した「DOMINATOR MAXI(開発コードネーム)」を企画・開発した家電メーカー Cerevoにおじゃまして参りました(関連記事:自動変形&音声収録! 完全再現された「ドミネーター」一般発売へ 「PSYCHO-PASS サイコパス」の世界をリアルで体験)
藤崎淳子氏の連載
AIが身近なサイコパスの社会
ドミネーターが登場するアニメ サイコパスは、西暦2112年の日本を舞台にした作品です。もしこの作品を黒電話と郵便が通信の主流だった時代に見ていたら、「SFの世界」という割り切りにとどまっていたかもしれません。しかし、いよいよIoT(Internet of Things:あらゆるモノがインターネットでつながることで社会を便利にする技術や仕組みのこと)社会へ進化しようとしている今、この作品の時代背景の描写はとても現実味を帯びて見えるのです(作品について詳細はサイコパスの公式サイトへ)。
農業が完全自動化され、工場では人間の代わりにドローンが働く様子が描かれ、日常生活ではITはもちろん、AI(人工知能)がふんだんに活用され……、もはやAIなしでは生きられないともいえる社会が描かれています。また美しい風景は3次元立体ホログラムで作られているのだとか。100年後……いや、早ければ50年後には本当にこんな社会が現実化するのでは? と思わされるシーンがたくさん出てきます。そんな、架空とも未来の現実ともつかない世界に登場するガジェットを「精巧に再現!」と聞いたらじっとしていられません。「何を手掛かりにどのように設計したのか」「部品図の描き起こしはどうしたのか」「開発中に辛かったことはなにか」……など、知りたいことだらけです。そんなはやる気持ちを抑えつつ、いざ出発です。
いざCerevoへ!
場所は東京秋葉原。Cerevoは今話題のモノづくりベンチャー支援施設「DMM.make AKIBA」の中にあります。出迎えてくださったのは、同社 広報担当の甲斐祐樹氏、そして開発担当のデザインエンジニアの狐塚聖治氏と石井剛太氏です。甲斐氏のお話によると、「Cerevo」という社名には、「一般消費者向け家電(Consumer electronics)を革新する(Revolution)」という思いが込められているとのことで、まずこの社名そのものに熱量を感じますね。そして「コネクテッド・ハードウェアで生活をもっと便利に・豊かにする」を企業理念に掲げられ、まさしくIoTを活用した、次世代の家電とサービスの開発で躍進する未来志向の若々しい社風をひしひしと感じました。
Cerevoが提供する「コネクテッド・ハードウェア」とは、言葉の通りハードウェアとインターネットを接続すること・接続されたモノを意味します。Cerevoは家電メーカーですから、これはつまるところ「ネット家電」というくくりになります。しかし、Cerevoが目指す「コネクテッド・ハードウェア」とは、家電とインターネットの接続だけではなく「モノや“何か”との接続」であり、インターネットもBluetoothも、それを実行するための手段の1つなのです。DOMINATOR MAXIの最大の魅力は「無線LAN機能を搭載しスマートフォンと接続すること(コネクテッド)で原作の世界観をさまざまに実体験できること」です。
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