メガネ型ウェアラブル端末、本命は見えたか(1/2 ページ)
近未来感の漂うメガネ型ウェアラブル端末だが、B2B向けを中心に実用化が進んでおり、その認識は近い内に過去のものとなりそうだ。
そのルックスから「近未来のもの」という認識を持たれがちなメガネ型ウェアラブル端末(ヘッドマウントディスプレイ:HMDを含む)だが、B2B市場を中心に着実な進化を遂げており、特殊なデバイスという認識は近い内に過去のものとなりそうだ。「第2回 ウェアラブルEXPO」(2016年1月13〜15日、東京ビッグサイト)に展示されていた、各社メガネ型ウェアラブル端末を紹介する。
メガネ型ウェアラブル端末(HMD)は両眼式で高い没入感を提供するものというイメージが先行しているが、B2B向けにおいて高い没入感を提案するモデルは少なく、作業の手順やマニュアルを表示するといった“ハンズフリーで利用できる補助情報機器”としての存在をうたうモデルが多い。そのため、展示会場では単眼式製品と単眼式製品を利用してのソリューション展示が多く見られた。
“表示”特化でB2Bにアピール
東芝の「Wearvue TG-1」は本体50グラムという軽さと、接客業務への利用も考慮した自然なデザインが特徴。映像も目の前に映し出すのではなく、あえて側頭部に近い場所とすることで、“視界の隅に情報が表示される”状態を提供する。市販のメガネに投影ユニットを後付けしたようにも見えるが、ハーフミラーのレンズに映像を投影する形式を採用しており、投影部分の取り外しは不可能だ。
使用に際してはWindows端末(Windows 8.1搭載端末)との有線接続が必要で、アプリケーション開発に必要なSDKも出荷開始時に同社より提供される予定。同社では倉庫内検品やコールセンターと接続してのフィールドサポート、スタジアムでの競技データ表示など、さまざまな用途を提案しているる。
ブラザー工業「AirScouter」はまさにハンズフリーの表示デバイスとして割り切った製品であり、タブレットなどを利用した作業支援システムがあればその表示装置の置き換えとしても利用できる。本展示会では防水防塵のタフネスモデルを参考出展しており、屋外作業での利用も視野に入れている。
産業向けウェアラブルグラス「InfoLinker」シリーズを手掛けるウエストユニティスが参考展示したウェアラブル端末も表示に特化したタイプ。高解像度映像を遅延無く投影でき、外科医や歯科医の治療時に補助ディスプレイとして利用して欲しいとしている。
製品ではなくモジュールだが、シャープの参考展示した薄型表示デバイスと小型の反射型LCOSプロジェクターモジュールも“ハンズフリーで利用できる補助情報機器”を実現するデバイスだ。表示デバイスは2.5ミリと薄型ながらもフルカラー/1280×720ピクセルの表示が可能で、LCOSモジュールと組みあわせた状態でも約70グラムと軽量だ。
あくまでも現段階では参考展示であり、自社製のウェアラブルデバイスに搭載するか、他社へモジュールとして提供するかなど詳細については未定だが、同社では工場内作業などB2Bはもちろん、家電やスマートハウス制御のUIとしてB2Cに利用することも想定しており、「補助情報機器」としての活用を検討しているという。
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