カメラとカーナビを載せた市販車で高精度地図データを作れる技術、トヨタが開発:2016 CES
トヨタ自動車は、消費者向けエレクトロニクス展示会「2016 International CES」において、現行の車両に搭載されている車載カメラとカーナビゲーションシステムなどのGPSを用いて、自動運転車に必須とされる高精度地図データを自動的に生成する「地図自動生成システム」を出展する。
トヨタ自動車は2015年12月22日、米国ネバダ州ラスベガスで開催される消費者向けエレクトロニクス展示会「2016 International CES」(2016年1月6〜9日)において、現行の車両に搭載されている車載カメラとカーナビゲーションシステムなどのGPSを用いて、自動運転車に必須とされる高精度地図データを自動的に生成する「地図自動生成システム」を出展すると発表した。
同システムは、車両走行中に車載カメラで撮影した路面の連続画像データと、GPSで取得した位置情報をデータセンターに集約し補正することにより、自動的に広域の高精度地図データを作成できる。
「地図自動生成システム」の高精度地図データ作成プロセス。車載カメラの画像データとGPSによる位置情報そのものは誤差が大きいが、クラウドで集約/補正することで誤差を小さくできる(クリックで拡大) 出典:トヨタ自動車
今回開発したシステムには、豊田中央研究所が開発したクラウドベースの空間情報の自動生成技術「COSMIC(Cloud-Operated Spatial Mark Information Creation)」を採用している。車載カメラの画像データとGPSによる位置情報そのものだけでは誤差が大きく、高精度地図データを作成できない。しかし、COSMICの走行軌跡を高精度に推定する技術と、複数車両から収集した路面画像データを統合/補正する技術によって、位置誤差を解消できる。直線路の場合で誤差は5cm以内に収まるという。
自動運転車には、自車両の周囲の状態を正確に検知できるセンサーとともに、自車両のセンサーでは検知できない場所の情報も必要になるといわれている。このセンサーで検知できない場所の情報として極めて重要な役割を果たすのが高精度地図データである。また、自動運転に求められる高精度地図データは一定以上の頻度での更新も必要になるとされている。
これまで、高精度地図データを作成する際には、レーザースキャナー(3Dライダーとも)など多数のセンサーを搭載した高価な専用車両が用いられてきた。このため、高精度地図データは一部地域でしか用意されておらず、更新頻度も高いとはいえない状態だった。さらに、レーザースキャナーでは道路の白線や標識を認識できないこともあり、人手で情報を追加していたという。
トヨタ自動車の地図自動生成システムは、市販車両や既存インフラを利用できるので、高精度地図データの作成コストを大幅に低減しながら、更新頻度も大幅に高められる可能性がある。もし、一般ユーザーの協力が得られれば、専用車両ではカバーしきれない地方の一般道の高精度地図データも得られるようになる。
ただし2016 International CESで出展する内容は、まずは高速道路などの自動車専用道路の高精度地図データを作成する技術として紹介する予定である。これは、トヨタ自動車が2020年頃の実現を目指している、自動車専用道路での自動運転の実用化に役立てるためだ。一般道や道路上の障害物への対応といった機能拡張は、将来的な目標となっている。
なお、トヨタ自動車は、自動運転技術に対する同社の考え方を「Mobility Teammate Concept」として発表している(関連記事:トヨタの自動運転技術は「全ての人の安全かつスムースで自由な移動のため」)。同コンセプトは。「運転」知能化、「つながる」知能化、「人とクルマの協調」のための知能化、という3つの知能化に支えられており、今回出展する地図自動生成システムは「運転」知能化の取り組みの1つになる。
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