760MHz帯の車車間・路車間通信が始まる、トヨタが新型車への搭載を発表:自動運転技術
トヨタ自動車は、日本国内のITS(高度道路情報システム)向けに利用可能な760MHz帯の専用周波数を使った車車間・路車間通信を用いる運転支援システム「ITS Connect」を近日中に国内で発売する車種に搭載する。2015年内をめどに、ITS Connectを搭載可能な車両を3車種まで増やす計画だ。
トヨタ自動車は2015年9月30日、日本国内のITS(高度道路情報システム)向けに利用可能な760MHz帯の専用周波数を使った車車間・路車間通信を用いる運転支援システム「ITS Connect」を近日中に国内で発売する車種に搭載すると発表した。さらに、2015年内をめどに、ITS Connectを搭載可能な車両を3車種まで増やす計画である。
レーザーレーダーやミリ波レーダー、車載カメラなどを用いる従来の運転支援システムは、それらのセンサーの検知範囲にあるものしか対象にできない。ITS Connectは、センサーでは捉えきれない見通しの悪い場所にいる車両や歩行者の存在、信号の情報などを、路車間あるいは車車間で直接通信することで取得し、ドライバーにあらかじめ知らせておくことで安全運転に役立てられるように支援するシステムだ。
開発が進む自動運転技術でも、従来の運転支援システムの延長となる先進運転支援システム(ADAS)、高精度なデジタル地図とともに、ITS Connectのような車車間・路車間通信技術が重要な枠割を果たすといわれている。
トヨタ自動車は2014年11月、2015年に発売する車両から順次導入を始める運転支援システム「Toyota Safety Sense」を発表している(関連記事:トヨタが2015年から運転支援システムを一新、高速道路では自動運転も)。そのうち高級車向けの「Toyota Safety Sense P」では、ITS線用無線通信を使ったオプション機能を導入する計画だった。今回発表したITS Connectこそ、まさにこのオプション機能になる。
「ITS Connectの搭載車種を順次拡大することで、国内の事故総件数のうち、約4割を占める、交差点周辺で発生する事故の低減に貢献していく。将来的には、車両制御技術などと連携し、すべての人が安全、スムース、自由に移動できる社会の実現を目指す」(トヨタ自動車)としている。
平成26年(2014年)に警察庁が発表した事故総件数とその発生原因。36%を占める追突事故を「Toyota Safety Sense」で、38%を占める「右折左折時」「出会い頭衝突」を「ITS Connect」で対応する(クリックで拡大) 出展:トヨタ自動車
路車間通信で3つ、車車間通信で2つの機能
ITS Connectには5つの機能がある。これらのうち3つは、道路インフラから情報を得る路車間通信システム「DSSS(Driving Safety Support Systems)」を用いたもので、残りの2つは車車間通信システム「CVSS(Connected Vehicles Support Systems)」を用いている。
DSSSによる機能は「右折時注意喚起」「赤信号注意喚起」「信号待ち発進準備案内」。右折時注意喚起は、ITS Connectに対応する路側装置を備えた交差点で右折待ち停車時に、接近する対向車線の直進車や、右折先に歩行者がいるにもかかわらず、ドライバーがブレーキペダルから足を離して発進しようとするなど、見落としの可能性がある場合に、表示とブザー音で注意喚起を行う。
赤信号注意喚起は、赤信号交差点に近づいてもアクセルペダルを踏み続け、ドライバーが赤信号を見落としている可能性がある場合に、表示とブザー音により注意喚起する。そして、信号待ち発進準備案内は、赤信号で停車したとき、赤信号の待ち時間の目安を表示する。
一方CVSSの機能は「通信利用型レーダークルーズコントロール」と「緊急車両存在通知」。通信利用型レーダークルーズコントロールは、先行車両が、同じ通信利用型レーダークルーズコントロール対応車両の場合に、車車間通信によって取得した先行車両の加減速情報に素早く反応して、車間距離や速度の変動を抑え、スムースな追従走行を実現する。
緊急車両存在通知は、サイレンを鳴らしている緊急車両(救急車)が周辺にいる場合に、ブザー音が鳴り、自車に対するおよその方向・距離、緊急車両の進行方向を表示する。
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