人と産業用ロボットが共に働く姿、その生産性をオフィスから確認:産業用ロボット(2/2 ページ)
安川電機は「2015 国際ロボット展」(2015年12月2〜5日、東京ビッグサイト)で、人との協調作業が行える産業用ロボット「MOTOMAN-HC10」や、ドイツのインダストリー4.0を見据えて開発した「MOTOMAN Cockpit」などの新製品を展示した。
人がいなければ最高速度で作業を実行
MOTOMAN-HC10の用途としては工作機械間のハンドリング、小物部品の組み立て作業での利用を想定しているという。安全柵不要で使えるため、その日の生産に応じてロボットを台車に乗せて最適な場所に移動させて作業させることもできる。
「とはいっても人と協調できるということは、安全面の問題から素早い動作は行えないのでは……」といった心配も、オプションの「存在感知センサー」を利用すれば問題ない。このセンサーを利用して人が近づいたことを検知すると、ロボットは250mm/s以下の安全な速度でしか動作しない。しかし人が安全な距離に離れている時は、最高速で作業を行う仕組みとなっている。MOTOMAN-HC10は今後の実機での検証を経て製品化する計画だという。
インダストリー4.0を見据えた「MOTOMAN Cockpit」
安川電機はこうしたロボットによる生産現場の管理をしやすくする新開発のソリューションMOTOMAN Cockpitも参考出展。これはオフィスからロボットの稼働状況の把握やリモートメンテナンス、予防保全など生産ラインの集中管理が行えるプラットフォームだ。既に安川電機が提供しているMOTOMAN向けのクラウドサービス「MOTOMAN-Cloud」や「MOTOMAN Touch!」とも連携できる。
MOTOMAN Cockpitはドイツのインダストリー4.0など、IoTやICTをフル活用したモノづくりの時代を見据えて開発したものだという。ブース担当者によれば「2016年夏頃の発売を目指しているが、提供方法などについては未定」としている。
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