BTO生産を完全自動化、安川電機の考える「インダストリー4.0」:ハノーバーメッセ2015
安川電機は、ハノーバーメッセ2015において、「インダストリー4.0」コンセプトの生産ラインを披露した。BTO製品を注文から生産まで自動で行えることをイメージしている。
安川電機は、ハノーバーメッセ2015(2015年4月13〜17日、ドイツ・ハノーバーメッセ)において「インダストリー4.0」コンセプトの生産ラインを披露した。
インダストリー4.0はドイツ連邦政府が主導して進めているドイツの産官学が連携して取り組むモノづくり革新プロジェクトだ。目指しているのはマスカスタマイゼーション(カスタム製品の効率生産)を実現可能なスマートファクトリーとされているが、これを実現するさまざまな要素についての研究を進めている状況で、一貫した完成予想図というのは描かれていない状況だ。この状況の中、ハノーバーメッセでも各社がそれぞれにイメージするインダストリー4.0コンセプトの製造ラインを出展している。安川電機も自社の特徴を発揮した製造ラインを披露した。
安川電機が披露したのは、タブレットで「YASUKAWA」などの文字を「注文」すると、2台のコンパクトロボットが、すぐにそれを反映して生産するというラインだ。BTO製品の生産をイメージしており、顧客の注文が即座に生産ラインに反映され、人の手を介さなくても完全自動で製品が出来上がる姿を実現した。
ブース担当者によると「実際の来訪者の反応も『こういう形か』と納得してもらえるケースが多い」と話す。一方で、実際に自社工場で導入するかどうかになると「既存の生産システムや、情報システムと組み合わせて利用することを考えると、コスト面や精度面、サービスとの組み合わせなどまだまだ課題は多い。すぐにこの仕組みを導入するのは難しいと考える企業が多いようだ」(ブース担当者)としている。
コンパクトロボットのプロトタイプ
ちなみに、安川電機の出展した生産ラインは長さが3m程度のコンパクトなものだったが、そこで使用した2台のロボットは、「コンパクトロボット」のプロトタイプとして出展したものだ。「ドイツの大手ロボット企業は巨大なロボットによるラインをアピールするケースが多いが、コンパクトなロボット、コンパクトな生産ラインで実現できることも多い。そういう点を訴えたかった」とブース担当者は話している。
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