ルネサスの第3世代「R-Car」が半自動運転を可能にする:車載半導体(2/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは、車載情報機器向けSoCの第3世代「R-Car H3」のサンプル出荷を開始した。半自動運転に相当するレベル3の自動運転システム向けに、HMIの描画性能と情報処理性能を進化させた。
「第4世代ではクルマの高機能化に合わせて“知性”を持たせていく」
スループット性能は第2世代のR-Car H2から大幅に向上した。ARMの64ビットアーキテクチャCPUコア「ARM Cortex-A57/A53」を採用し、従来比で1.6倍の4万DMIPS(Dhrystone Million Per Second)を実現。また、GPUはImagination Technologiesの「PowerVR GX6650」を採用してシェーダー演算性能を従来比3倍に高めた。動画処理コアはルネサス独自のものでR-Car H2の2倍の処理性能とし、4K映像の表示まで可能になる。
ローレイテンシ性能を確保するため、画像認識や分岐処理はルネサス独自の並列プログラマブルコア「IMP-X5」で行う。従来の「IMP-X4」と比べて4倍の画像認識処理性能を実現した。
CPUやGPUのみでスループット性能を実現するとHMIの応答性が損なわれる。しかし、センサーフュージョンや認識、判断処理のそれぞれで最適なアーキテクチャを使い分けることで「車載用として現実的なコスト、性能を可能にできる」(ルネサス 車載情報戦略部 部長の吉田正康氏)という。
また、メインメモリにLPDDR4を採用することで、メモリバンド幅をR-Car H2の4倍となる50Gバイト/sに引き上げ、同時並行での動作や情報処理が可能になった。
高速のDDRメモリは基板の配線設計を行う際に負担となる。そこで、SoCとDDRメモリを1パッケージに収めたSIP(System in Package)モジュールを用意。設計工数を削減し開発期間の短縮に貢献する。
R-Car H3では、ハードウェア設計だけでなく、ソフトウェアの開発負担も軽減する仕組みも盛り込んだ。
第2世代品であるR-Car H2や、「R-Car M2」、「R-Car E2」、サラウンドビュー向けの「R-Car V2H」、カメラをネットワーク化する「R-Car T2」、車車間/路車間通信用の「R-CarW2R」との互換性を持たせる。また、将来発表するR-Car M2やR-Car E2の第3世代品との互換性も確保し、ハイエンドからミッドレンジ、エントリーレベルまで広く開発を効率化する。
また、170社以上が参加する「R-Carコンソーシアム」を通じて、自動運転技術や先進運転支援システムの開発をサポートしていく。
今後のR-Carプラットフォームは「第4世代ではクルマの高機能化に合わせて“知性”を持たせていく」(大村氏)方針である。また、高精細なHMI表示に対応してサラウンドビューも進化していくことから、「R-Car V3Hを出す可能性もある」(同氏)としている。
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