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ルネサスの第2世代「R-Car」が出そろう、「完全にスケーラブル」車載半導体(1/2 ページ)

ルネサス エレクトロニクスが、低価格帯の車載情報機器向けSoC「R-Car E2」を発表し、第2世代「R-Car」が出そろった。「ローエンドからミッドレンジ、ハイエンド、そして先進運転支援システム向けに至るまでの完全なスケーラビリティを実現した」(同社)という。

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ルネサスの大村隆司氏

 ルネサス エレクトロニクスは2014年10月22日、東京都内で会見を開き、車載情報機器向けSoC(System on Chip、システムLSIとも)の新製品「R-Car E2」を発表した。同日から製品サンプルと、R-Car E2を搭載するソフトウェア開発ボードの出荷を始めた。サンプル価格は5000円。2016年6月から量産を始め、2017年6月時点での生産規模は月産50万個を予定している。

 R-Car E2は、車載情報機器向けSoC「R-Carファミリ」の第2世代品のうち、新興国向けをはじめとする低価格の車載情報機器に向けた製品である。これまで第2世代R-Carでは、2013年3月にハイエンド向けの「R-Car H2」、同年9月にミッドレンジ向けの「R-Car M2」、2014年8月に新たに先進運転支援システム(ADAS)向けとしてラインアップに加えた「R-Car V2H」を発表しているが、今回のR-Car E2で全て出そろったことになる。

 会見に登壇した同社執行役員常務で第一ソリューション事業本部長を務める大村隆司氏は、「ルネサスは、これからの車載システムの潮流となる『統合コックピット』に対して、フレキシビリティ、スケーラビリティ、パーソナライズという3つのコンセプトで提案を行っている。これら3つのうち、今回のR-Car E2の投入によって、ローエンドからミッドレンジ、ハイエンド、そしてADAS向けに至るまでの完全なスケーラビリティを提供できるようになったと考えている」と意気込む。

ルネサスの大村隆司氏(左)と「統合コックピット」に対する3つのコンセプト(クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

「Cortex-A7」搭載でファンレス利用が可能に

 R-Car E2は、ARMのアプリケーションプロセッサコア「Cortex-A7」を2個とルネサスの独自コア「SH-4A」を搭載。グラフィックスプロセッサはImagination Technologiesの「PowerVR SGX540」を採用している。最大動作周波数は1GHzで、処理性能は「第1世代のR-Carでミドルレンジ向けだった『R-Car M1』とほぼ同等」(ルネサス)だという。製造プロセスは他の第2世代R-Carと同様に28nmを用いている。

「R-Car E2」(左)とそのソフトウェア開発ボードの外観。ソフトウェア開発ボード上に赤線で示した位置にあるR-Car E2は、ファンレスで使用できるほど消費電力は小さい(クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 低消費電力を特徴とするCortex-A7を採用したことにより、R-Car E2の消費電力はかなり抑えられている。R-Car H2やR-Car M2は基本的に冷却ファンが必要になるが、R-Car E2はファンレスでの使用が想定されている。

 R-Car E2は、大村氏が強調するスケーラビリティの実現を重視する開発が行われた。例えばプロセッサコアについては、ARMのアプリケーションプロセッサコアとして広く利用されている「Cortex-A9」を使う選択もあったが、R-Car H2やR-Car M2で使用している「Cortex-A15」との命令互換性の高さを考慮してCoretx-A7にしたという。また、第1世代のR-Carのローエンド向けだった「R-Car E1」で採用していなかったSH-4Aを、R-Car E2では採用している。これもソフトウェア開発の共通化を容易にするという狙いが背景にある。

「R-Car E2」の投入で完成した第2世代「R-Car」のラインアップ(左)とソフトウェア互換を実現するスケーラビリティの実現(クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス
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