ニュース
従来比3倍の感度を備えたヘルメット型PETを開発、認知症の早期診断に期待:医療機器ニュース
放射線医学総合研究所とアトックスの共同研究チームは、従来比3倍の感度を備えたヘルメット型PETを開発した。微量な原因タンパク質の画像化が可能になることで、認知症の早期診断が期待される。
放射線医学総合研究所は2015年11月5日、アトックスとの共同研究チームが、従来比3倍の感度を備えたヘルメット型PETを開発したと発表した。微量な原因タンパク質の画像化が可能になることで、認知症の早期診断が期待できるという。
日本をはじめ、高齢化が進む先進国では、PETによる認知症の早期診断が期待されている。しかし、脳内の微量な原因タンパク質の検出には、検出器を測定対象に近づけて感度を上げる必要があるが、一方で解像度が劣化するという問題があった。
研究チームでは、測定対象に近づけても解像度を維持できる、3次元放射検出器(DOI検出器)を開発。同検出器を半球状のヘルメット部に配置し、頭部により近づけることで、高感度・高解像度での測定を可能にした。これにより、従来の円筒型全身用PET装置に比べ、感度が3倍以上向上した。どの場所でも均一な3mm以下の解像度を達成したことで、認知症の発症前から早期の微量な原因タンパク質の量や分布の画像化が期待されるという。
また、高感度化したことで検査時間を短縮し、PET薬剤の少量化による被ばくも低減できる。検出器は54個で、一般的な従来装置に比べて使用数を1/5に削減。装置の低価格化が可能になるとしている。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 放射線治療用MRI装置を販売開始
シーメンスの高性能MRI装置に、放射線治療用アクセサリーとアプリケーションを搭載したもの。高精度で高機能な情報を得られ、腫瘍伸展範囲の同定をより的確に設定できる。 - 火星探査機「キュリオシティ」に採用された34個のIC
アナログICベンダーのインターシルは、火星着陸に成功したロボット探査機「キュリオシティ(Curiosity)」に、同社の耐放射線性ICが搭載されていることを明かした。 - 放射線を照射した際の染色体動態の変化を可視化
東京理科大学は、植物に放射線が照射された際、細胞核内で染色体の動きが変化する様子を可視化することに成功した。相同な染色体座の接近は、DNA二本鎖切断を修復するために起きていることが示唆されるという。 - 放射線計測から環境・農業ICTまで――コアのM2Mサービス基盤にIBMのクラウドサービスを採用
コアのM2Mサービス「ReviveTally」のクラウド基盤に、日本IBMの「IBM SmarterCloud Enterprise」が採用された。これに併せ、ReviveTallyを活用した「簡易放射線計測ソリューション」および「環境・農業ICTソリューション」の提供を開始する。 - 放射線量をスマートフォンで見える化――NECの「CONNEXIVE放射線測定ソリューション」
放射線量の測定ニーズの高まりを受け、NECは、センサーで測定した大気中の放射線量をPCやスマートフォンなどで閲覧可能にする「CONNEXIVE放射線測定ソリューション」の販売を開始する。