放射線治療用MRI装置を販売開始:医療機器ニュース
シーメンスの高性能MRI装置に、放射線治療用アクセサリーとアプリケーションを搭載したもの。高精度で高機能な情報を得られ、腫瘍伸展範囲の同定をより的確に設定できる。
シーメンス・ジャパンは2014年12月10日、高精度放射線治療で求められる位置決定の精度向上や効果判定に対応するMRI装置「MAGNETOM Combi Suite Radiation Therapy - RT pro edition -」を発売した。
今回発売された装置は、シーメンスの高性能MRI装置である1.5T「MAGNETOM Aera」と3T「MAGNETOM Skyra」に、放射線治療用アクセサリーとアプリケーションを搭載したもの。高精度で高機能な情報を得られ、腫瘍伸展範囲の同定をより的確に設定できる。
例えばCT画像では、頭頸部や骨盤腫瘍の正常組織と病変部の識別は困難だが、同装置は多種多機能なMR画像を融合することで、高精度な放射線治療を可能にした。これにより、正常臓器容積精度の向上や危険臓器への照射線量を低減でき、正常組織障害発生確率が低下できる。
さらに、MRIは高い腫瘍活性度や細胞の充実性を視覚化できるため、肉眼的腫瘍体積の設定精度が向上し、同時追加照射による病変への高線量照射や治療期間の短縮が期待できる。MR検査により早期治療効果判定ができれば、追加照射の早期決定や化学療法の併用開始時期の決定にもつながるという。
同装置は、ワイドボア径70cmで、放射線治療用固定具を付けたまま、高い感度域を有するTim4Gコイルシステム(48チャンネルRF受信システム)で広範囲に信号を受信できる。また、新開発のRT Dotエンジンにより、放射線治療や効果判定時に使うMR画像の磁場による辺縁部のゆがみ、ポジションの再現性などの問題を解決した。
他に、MR装置対応の外部レーザーポインターを装備した。放射線治療用固定具を装着した状態での頭頸部や体幹部のMR検査では、高密度受信コイルが使用できるため、体表面の正確なポジショニングも可能になった。
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