新型「プリウス」がTNGAの第1号車になった理由:車両デザイン(6/6 ページ)
トヨタ自動車が2015年12月に発売する新型「プリウス」。JC08モード燃費で40km/l(リットル)という環境性能だけでなく、従来モデルのプリウスの弱みだった走りの楽しさや乗り心地を大幅に向上している。これは、新型プリウスが第1号車となる「TNGA」プラットフォームが目指す目標でもある。
TNGA第1号車が新型「プリウス」だからこそ多車種への展開が容易に
TNGAは、Volkswagenグループの「MQB」や日産自動車の「CMF」のような、部品共通化による開発期間短縮やコスト削減が可能なモジュール化戦略と比較されることが多い。しかしそれ以上に、トヨタ自動車社長の豊田章男氏が繰り返し主張している「もっといいクルマづくり」を実現するための基盤としての意義も強く押し出されている。
そして、ここで言う「もっといいクルマづくり」は、トヨタ自動車がハイブリッド技術で先行してきた燃費性能よりも、トヨタ車に不足しているといわれてきた走りの楽しさや乗り心地への比重が高い。これはまさに、新型プリウスの目指す方向性と同じだ。
これまで初代、2代目、3代目ともプリウスの基本骨格は他の車両を流用している。つまり、他の車両を基にして、環境性能を追求するというのが従来のプリウスの開発方針になっていた。しかし、4代目となる新型プリウスは、初めて一から作り上げた完全新規の基本骨格であるTNGAプラットフォームを基に車両を開発したことになる。
しかし逆に考えれば、TNGAプラットフォームは新型プリウスに最適化されているのではないか、という疑問も出てくる。他車種への展開が難しくなる可能性はないのだろうか。
この疑問に対して、新型プリウスの開発を豊島氏とともに支えてきた、トヨタ自動車 製品企画本部 ZF 主任の山田寛之氏は「新型プリウスは、ハイブリッドシステムという、一般的な内燃機関車よりも多くのシステムを搭載する車両だ。最も複雑な新型プリウスをTNGAプラットフォームの第1号車とすることで、今後の他の車両開発への対応が容易になると考えている」と語る。
「新型プリウスの開発とTNGAプラットフォームの構築はほぼ同時並行で進められていた。例えば、他の車種の開発で、ネジをもっと長くしてほしいという要望があり、それが新型プリウスにも適用可能であれば、TNGAプラットフォームの第1号車である新型プリウスでも取り入れるといったような対応だ」(山田氏)という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 新型「プリウス」は目標燃費40km/lをどうやって達成するのか
2015年12月に発売予定の新型「プリウス」に搭載される新技術が発表された。JC08モード燃費40km/l(リットル)を目標に開発されている新型プリウスだが、エンジンやモーターの改良の他にもさまざまな技術を積み重ねることでその目標を実現しようとしている。 - 新型「プリウス」採用部品を一挙展示、ゆるキャラが魔法少女とコラボ
「東京モーターショー2015」で、各社が工夫を凝らした技術展示や、サプライヤの部品展示をフォトギャラリー形式で紹介する。新型「プリウス」の採用部品の数々や、ゆるキャラと魔法少女のコラボ展示に注目だ。 - 新型「プリウス」に初の四輪駆動モデル、「E-Four」の小型化で実現
トヨタ自動車は新型「プリウス」に初の四輪駆動モデルを追加する。車両サイズや全高が比較的大きいSUVやミニバンなどのハイブリッド車を四輪駆動化する際に用いていた「E-Four」を小型化することで実現した。 - 新型「プリウス」の「世界初」が意外と少ない理由は「TNGA」?
1個だけらしいです。