新型「プリウス」がTNGAの第1号車になった理由:車両デザイン(5/6 ページ)
トヨタ自動車が2015年12月に発売する新型「プリウス」。JC08モード燃費で40km/l(リットル)という環境性能だけでなく、従来モデルのプリウスの弱みだった走りの楽しさや乗り心地を大幅に向上している。これは、新型プリウスが第1号車となる「TNGA」プラットフォームが目指す目標でもある。
「走りを楽しくさせる加速感」
6)「走りを楽しくさせる加速感」は、主にハイブリッドシステムの制御の工夫によるところが大きい。ハイブリッド車でアクセルを踏んで加速する場合、エンジンとモーターの両方の駆動力を使って加速することになる。しかし3代目プリウスでは、エンジン回転数の増加と連動する形で感じる「リニアな加速」とは少しずれた、ある意味ハイブリッド車独特の加速感になっていた。
新型プリウスでは、アクセル操作と車両加速度応答の関係を定式化し、伸び感のある気持のよい加速感を創出した。また駆動用バッテリーを活用することで、車両加速度とエンジン回転数変化の一体感も実現している。
加速とは逆方向になるが、ハイブリッド車では減速エネルギーを使って発電する回生ブレーキを使った減速も独特のものになっていた。「3代目プリウスでは“カックンブレーキ”と呼ばれることも多かった」(豊島氏)。新型プリウスは、より自然でスムーズなブレーキングになるように、回生ブレーキと油圧ブレーキのバランスをセンサーを使って最適に制御している。
シートの快適性向上にTNGAプラットフォームが寄与
走行時の快適性ではシートも重要な役割を果たしている。最も快適な運転姿勢を実現するため、腰や筋肉への負担が少ない骨盤角度を実現。シート内のクッションパッドの素材や厚みを工夫して、座骨に集中しがちな圧力が周囲に分散し、包み込まれるようなフィット感を生みだしたとしている。
またTNGAプラットフォームの採用により、シートのボディへの取り付けについても、これまではあまりなかったことが実現できている。従来のトヨタ車では、シートをボディに取り付ける場合、シートやボディ側に変更を加えるのではなく、その間にブラケットを追加するのが一般的だった。しかしTNGAプラットフォームでは、車両の仕様に合わせて最適なシートの高さを複数の段階から選べるようにして、ブラケットの追加を不要にした。
これによってブラケットという部品の省略のみならず、ボディに直接取り付けることにより「グラグラせず疲れないシートをTNGAプラットフォームの車両全てで実現できるようになった」(トヨタ自動車 製品企画本部 ZF 主任の杉浦真之氏)という。
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