新型「プリウス」がTNGAの第1号車になった理由:車両デザイン(4/6 ページ)
トヨタ自動車が2015年12月に発売する新型「プリウス」。JC08モード燃費で40km/l(リットル)という環境性能だけでなく、従来モデルのプリウスの弱みだった走りの楽しさや乗り心地を大幅に向上している。これは、新型プリウスが第1号車となる「TNGA」プラットフォームが目指す目標でもある。
「静粛なプライベート空間」
新型プリウスは、5)「静粛なプライベート空間」を目指して、静粛性の大幅な向上も図った。ボディ剛性の向上は「意図通りの走り」だけでなく静粛性にも寄与しているが、それ以外にもさまざまな工夫がこらされている。
まずはボディの防音性能の向上だ。ボディ接合部のすき間を埋めるボディシーラーの塗布量を従来型よりも拡大し、車室内の気密性を3代目プリウス比で2倍に高めた。またフロアサイレンサーについては、フロアカーペットと2分割構造にすることで、フロア全面に適用できるようにした。3代目プリウスでは、フロアカーペットとフロアサイレンサーが一体だったため使用面積が限られていた。
そしてエンジンルームからの騒音が車室内に入らないようにするための遮音吸収材も追加/拡大した。エンジンルームと運転席の間の遮音材については、エンジン音の主成分の周波数を低減することが可能な穴開きの材料を使用した遮音材を採用している。
ハイブリッドシステムの制御の変更も静粛性の向上に役立っている。3代目プリウスでは、エンジン停止車速域の上限を時速70kmとしていたが、新型プリウスはモーターの活用範囲を拡大して時速110kmまで高めている。特に、最高速度が時速100kmの高速道路における走行を想定した場合、エンジン停止車速の上限が時速70kmだと多くの場面でエンジンを動作させる必要があるが、時速110kmであればエンジン動作の頻度を大幅に減らせる。
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